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ごぼうかえるのTOKIの世界!
皆に元気を与えたい! 前向き楽しいブログを目指す(*^.^*) 口蓋裂の娘ちゃんと軽いADHD、軽いチック症状を持つ旦那と楽しくのんびりな日常をドールちゃん達が紹介する! 独自世界の幻想日本神話、自作小説書いています! 神と人形と人間と霊、そして『K』の季節感じる幻想データ世界TOKIの世界へようこそ! 和風SF日本神話の世界です( ´∀`)
娘ちゃん反抗期?笑
小説家になろう(表紙絵、挿絵、キャラ絵紹介付き)
(長編)TOKIの世界書
http://ncode.syosetu.com/s3277c/

(長編②)TOKIの神秘録
https://ncode.syosetu.com/s0712f/c/


(短編)TOKIの庶民記
http://ncode.syosetu.com/s0371d/


星空文庫(表紙絵、キャラ絵紹介付き)
http://slib.net/a/8401/

で小説を書いております。


娘ちゃんの自我がすごい現れました笑。
自分の思い通りにしたい!という意欲が満載に!
ますます怪獣になり大変に!?
なにか違う生き物と一緒にいるみたいですね。
神様でも宿ってるのか?
で、人間になるための準備期間??
なんかおもしろい笑。

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で、わこうちゃんキャップ。
和光堂にはよくお世話になってます。
麦茶とかね。
こんなに色んなペットボトルキャップあるのか!


かわいー!

あとは……
旦那の兄さんから謎のタオル!
いや、謎ではないか。
野球の福袋からタオルをくれました。
しかし……これ、通常で使うには……汗。
「一発!」とか「絶対勝つ!」とか赤地に白い字(習字)とかちょっとなあ……笑
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娘ちゃんが食べる手作りフレンチトースト!
無添加パンと少量バター、牛乳、砂糖、卵。
卵の白身にアレルギーがありそうなんで黄身だけ。
よく食べる!
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で、私は添加物たっぷりなプリンアラモード笑。
まあ、たまのぜいたくです!

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小説は投稿中です!!
よろしくね!(*^.^*)
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テーマ:主婦の日常日記 - ジャンル:日記

変わり時…1交じる世界7
 駕籠に乗ったマナ達はクロノスがいるという例の村へ行く事にした。
 駕籠の中は快適だった。プラズマが言った通り電車のワンボックス席のようなシートがある。外からではそれがわからない。空間的におかしい気もしたがマナは気にするのをやめた。
 プラズマとマナはそのワンボックス席の椅子に座った。
 座った刹那、鶴が飛び立ち始めた。
 「では、いくよい!」
 ツルの一声で駕籠がふわりと浮いた。だが気持ち悪い感覚はなく、中からでは浮いているのかどうかもわからない。
 ツル達は高く飛び上がるとそのまま飛行を始めた。駕籠にはなぜか窓がついており、その窓から外の眺めを楽しめた。
 「なんだかわけがわからないけど外が見えるね。」
 「まあ、神々の関係ではわけわかんない事の方が多いよ。」
 マナが興味津々に窓から外を眺めている。飛行機に乗っているみたいなのに浮遊感がないのだ。不思議で仕方がない。
 プラズマはまたも興味が窓からの眺望に移ったマナに関心の目を向けた。
 「ああ、そうだ。クロノスについて少し調べておくか。しかし、はやいよなー……もう携帯電話の時代じゃないんだもんな。アヤが悪戦苦闘していた時代ではまだ携帯電話だったしな。ま、俺はもっと未来から来たけど。」
 プラズマはマナから目を離し、代わりにスマートフォンを取り出した。
 「スマホで神様の事が出てくるの?」
 マナが不思議そうに尋ねた。マナがいた世界では神のかの字も出てこない。
 「ん?まあ、ふつうの人間向けのやつにも出てくるが……俺は当然、神々向けの情報通信を見る。」
 プラズマは『天界通信本部ネット支部』と検索欄に入れるとその中の『ようこそ!外国神!』のコーナーを開いた。
 「このサイトは……?」
 マナがすかさずにプラズマのスマホ画面を見つめた。
 「これは日本に来た外国神を取材する記事だ。写真を見る限りだと田舎の野球少年って感じだな。」
 プラズマは今週の記事の中で『クロノス来日!』と書かれた記事を開いた。クロノスの写真も載っていた。野球帽に半袖短パンの子供が豊かな自然をバックに満面の笑みを浮かべている。
 パッと見て日本の子供にしか見えない。
 記事を読むと現在はリョウと名乗っていると書いてあった。
 「ふーん……。この子、過去、現代、未来の三方向からものが見られると。つまり、俺なんかよりももっと世界を見れているわけだ。これは期待だ。」
 プラズマはマナに向かってほほ笑んだ。
 次元が違いすぎる話にマナはどう反応すればいいかわからなかった。 


 しばらく静かに駕籠は飛んだ。窓からは一面の海が見える。潮風が流れカモメがどこかで鳴いている。ぽかぽかした太陽がなんだか眠気を誘った。
 「そろそろ着くよい!」
 ツルが声を上げた。ぼうっとしていたマナは驚いて半分腰を浮かせてしまった。
 「ははっ!あんたにとっちゃあわけわからん状態なのによくぼうっとできるな。」
 マナが飛び上がったのをプラズマが隣で楽しそうに見つめていた。
 「ちょ、ちょっと気持ちよくなっちゃって……うとうとと……。」
 マナも自分で自分の神経をさすがに疑った。やっぱり自分はだいぶんおかしいようだ。
 「ま、いいや。とりあえずそろそろ着くらしいぞ。」
 プラズマが心底楽しそうな顔をしながら地面が近づいてくるのを窓から見ていた。
 やがて駕籠は何の音もなく地面に着いた。どうなっているのかわからないが地面に着く感じも揺れる感じも何もなかった。
 「着いたよい!」
 ツルが元気よく声を上げた。それを合図にプラズマとマナは席を立った。
 外に出る。暑いほどの太陽がまずマナ達を照らした。辺りを見回すと右手に海が、そして左手に山々が堂々と立っていた。
 典型的な田舎である。近くに寂れた駅があり、券売機には蜘蛛の巣が張っている。
 「な、なんだかすごいところにきたね……。」
 マナが不安げな顔でプラズマを仰いだ。
 「まあ、いいじゃないか。俺は自然好きだぞ。虫は残念ながら嫌いだが。」
 プラズマは大きく伸びをしてツルに目配せをした。
 「よよい!もういいって事かよい?じゃ、またなんかあったら。」
 ツル達は軽く頭を下げるとさっさと飛び去って行った。なんだかさっぱりとしている神々の使いである。
 ツルが飛び去って行く水平線を眺めながらプラズマはため息をついた。
 「で、こっからどうやって探そうか……。」
 「あ……。」
 辺りは森に林にと自然豊かだが広すぎて検討がつかない。
 「とりあえずてきとうに……。」
 プラズマがてきとうに足を踏み出した刹那、近くにあった一本の木から男の子が降ってきた。
 虫取り網に半袖半パン、頭には野球キャップがついている。七、八歳くらいにしかみえない男の子だ。
 少年は写真で見たあのクロノスにそっくりだった。
 「あ、彼からわざわざ来てくれたよ。助かるぜ。」
 プラズマは別段驚く風でもなく笑みを浮かべながら少年を見つめた。
 「……ほんとにいたんだ……。」
 マナは不思議な雰囲気の男の子に目を見開いて驚いた。
 「……君が日本の時を守る時神未来神かな?」
 少年はプラズマを見て子供っぽい仕草で尋ねたが言葉はどこか大人びていた。
 「ああ。俺は時神未来神、湯瀬プラズマだ。あんたはクロノスか?」
 プラズマは日差しを手で覆いながら少年に会釈をした。
 「まあ、そうだね。クロノスだけど……今は日本に溶け込んでいるからリョウって呼んでほしいかな。なんでリョウなのかはね……。」
 クロノス、リョウはふてきな笑みを浮かべて言葉を切った。
 「なんとなくわかるが聞いてやるよ。」
 プラズマは子供だと思ったのかやたらと態度が横柄だった。
 「この物語を『了』できるからだよ。」
 リョウはクスクスと笑いながらプラズマを見上げた。
 「……なるほど……あんたは未来も見えるのか?ここにいる理由はわからないが俺達が来た理由はわかるだろう?」
 「まあね。君達は何をすればいいかわからないから来たんだよね?僕はここで過去も見た。プラズマ君、君の過去は簡単に見れるのだけどそこの女の子の過去はかなり不思議すぎる。この世界の子じゃないね?」
 リョウはマナの目を見ながら子供っぽい愛嬌ある顔で笑った。
 「ああ、おそらく伍から来ている。」
 プラズマはマナを一瞥してまたリョウに向き直った。
 「なるほど……。ところで世界はTOKIの世界と呼ばれているのを知っているかな?」
 リョウが試すようにプラズマを見上げた。プラズマはつまらなそうに首を横に振った。
 「いや。知らん。」
 「そう呼ばれているんだ。というかそうしたんだ。TOKIって文字はすべて線対称なんだ。Kは横にすると線対称だよね?つまり……この世界はけっこう単純だ。Tが『壱』と『陸』、『参』と『肆』を表していてOが『弐』の世界。……Kは飛ばしてIは『伍』の世界なんだよ。Kは横にしてTとO、そしてIを結んでいる者としている。……プラズマ君なら知っているかな?Kの存在を。」
 「ああ、まあ、そこそこはな。」
 プラズマは曖昧にごまかしていた。
 「けっこう恨みを買いやすいみたいだけどKは世界を結んでいるだけだからこの異変を解決する能力はない。マナちゃんだっけ?君は世界全体にとって異様で特例なんだ。君が望んだことのようだけど向こうのKが君をこちらへ呼んでしまったらしい。Kとしては君が伍の世界には不適格だと思ったようだね。だから君をこちらへ渡したんだ。」
 「は、はあ……。」
 マナはなんで名乗ってもいないのに自分の名前を知っているのかを聞きたかったが目の前にいる少年はおそらくそういう次元を通り越しているのだろうと思いなおした。
 なんだか雰囲気が異様なのでマナは気おされてなにも言葉が出てこなかった。
 「だけど君はこちらの世界をかなり疑っている。不思議な事、おかしなこと、すべてありえないと思っている。つまりKに初めてシステムエラーが出たって事だ。普通だったらこっちに来た段階でおかしいなんて思わない。Kの誰かがミスをしたか、あるいは……。」
 「意図的にマナをこちらへ入れたか……か?」
 プラズマの言葉にリョウは答えなかった。
 「まあ、とにかくこれはあんまりよろしくない結果を生むようだ。」
 リョウは腕を組んだまま、険しい顔をしていた。マナから無理やり過去と未来を盗み見ているようだ。
 「よろしくない結果って?なんだか怖いんだけど……。」
 怯えているマナにリョウは口角を上げて軽くほほ笑んだ。
 「見てみる?」
 「え……?」
 マナはリョウの顔を見て固まった。刹那、目の前が突然、渦を巻いて消えた。


テーマ:オリジナル小説 - ジャンル:小説・文学

明かし時…1ロスト・クロッカー7
 ナオ達は再びアヤの部屋に入り込み、たくさんある時計を一つ一つ調べていた。
 「栄次、時神の神力、わかりますか?残念ながら何もわからないのですが……。」
 ナオは首を傾げながら時計を撫でていた。
 「うむ……。はっきりとはわからないのだが……この時計だけ不思議な感じがするな……。」
 栄次は眉をひそめながら新品そうな時計を持ち上げた。横にいたムスビは栄次が持っている時計をまじまじと見つめていたが何もわかっていなさそうだった。とりあえず栄次はムスビに時計を渡した。
 「……これ、新しそうだな。やっぱ俺にはわからないなあ。」
 ムスビは一通り眺めると今度はナオの手に時計を置いた。
 「そうですね……。私もよくわかりませんがまだ買ったばかりのような気もします。」
 「ちょっと貸してくれるかの?」
 「はい。ヒメさん、どうぞ。」
 ムスビからナオに渡った時計はナオの隣にいたヒメに渡った。
 「歴史の分析をした所、職人さん手作りの目覚まし時計のようじゃ。昨日完成し、この家に届いたようじゃな。値段は一万円超じゃ……。アヤは前々からこの時計を狙ってお金を貯めていたようじゃな。」
 ヒメの分析にムスビは驚いた。
 「そんなこともわかるのかい?」
 「……わかるというか……この時計に携わった人々の歴史を見ただけじゃ。時計の事はわからぬがそれに関わった人の歴史ならば見れるからの。ワシは人の歴史を管理しておる故。」
 「な、なるほど……ヒメちゃんってすごいんだね。」
 ムスビは時計とヒメを交互に見つめながらつぶやいた。
 「で?栄次殿、これが時渡りした時計なのかの?」
 ヒメは時計から目を離し、栄次に目を向けた。
 「それはわからんのだがこの時計だけ神力が宿っているように思えるのだ。」
 栄次はなんとも言えない顔で首を傾げた。自信はなさそうだった。
 「まあ、今の段階では少しでも可能性がある方へかけたいな。栄次の思った通りに動いてみるしかねぇだろ。な?ナオさん。」
 ムスビはナオに目を向けた。
 「そうですね。今はそれしか手がありませんので……。ここは栄次の時神の勘を信じましょう。」
 ナオは大きく息を吐きだすと気合を入れた。
 「では……この時計が示す時間に行ってみるかの?昨日の昼過ぎくらいの時間帯だと思われるのじゃ。」
 「よし、じゃあそれで行こう。俺はよくわかんないからさ。」
 ヒメの言葉にムスビが元気よく答えた。
 「お、おい。正しくないかもしれんぞ……。」
 勝手に話が進み、栄次は困惑した顔でナオ達を見ると焦った声を上げた。
 「大丈夫です。間違えたら急いで戻りましょう。なにせ手がかりがないのですから片っ端からやらないといけないと思います。」
 「そうか。」
 ナオの発言に栄次は一言短く言うと口を閉ざした。
 「では行きましょう。ヒメさん、お願いします。」
 「う、うむ。いいのじゃな?それではさっそく転送するのじゃ。」
 ヒメはナオの合図でナオ達を過去の世界、参(さん)に飛ばした。
 ほぼ一瞬で何も考える余地はなく、ナオ達は白い光に包まれていた。気が付くと少しだけ違うアヤの部屋にナオ達はいた。昨日の日付の特売のチラシが床に散らばっており、先程触っていた時計は箱の中に入ったままだった。
 「……昨日に来た……ようだな。」
 栄次が小さくつぶやき、ナオとムスビはハッと我に返った。
 「あ、あれ……?ヒメちゃんは……?」
 頭が働きかけてきた頃、ムスビはヒメがこちらに来ていない事に気が付いた。
 「もしかするとヒメさんは送る事はできますが自分が過去に来る事はできないのではないでしょうか?」
 「じゃ、じゃあどうやって元の世界に……。」
 ナオとムスビは顔色を悪くした。
 「ん?ワシがどうしたのじゃ?」
 ふと隣からヒメの声がした。ヒメは廊下の方でこちらを窺うように立っていた。
 「良かったです。ヒメさんも過去に渡れたのですね。」
 ナオから安堵の吐息が漏れる。ヒメは少し複雑な表情で首を振った。
 「あ……えっといや……そなたらの世界で言うと……ワシは過去……えーと、参の世界のヒメじゃ。今は明日の自分とリンクしておるので一応、話はわかっているぞい。」
 「え……?よ、よくわかりませんがあなたは昨日のヒメさんという事ですか?」
 「うむ。そなたらからするとそうじゃな。しかし、中身は明日の自分じゃ。」
 戸惑うナオにヒメは落ち着いて答えた。
 「中身が明日の自分って……。」
 「じゃから、記憶を明日の自分とリンクさせておるだけじゃ。」
 「じゃ、じゃあ、別にさっきまで一緒にいたヒメちゃんと変わらないわけだよね?」
 「そうじゃ。」
 ムスビの動揺している声にもヒメは落ち着いて答えた。
 「ま、まあ話が通じるのならばそれでいいです。では、行きましょうか。」
 ナオはまだ戸惑っていたが徐々に落ち着きを取り戻した。
 「あ、ちょっとナオさん、行きましょうってどこへ?」
 ムスビがナオに手を広げて「わかりません」のポーズをとる。
 「……そ、それは栄次の時神を探知する能力で……なんとか……。」
 「俺か?何度も言うが……俺には自信がないぞ。」
 もじもじとしているナオに栄次は呆れたようにため息をついた。
 「やっぱり勢いで来たのかよ。」
 ムスビは頬を赤くしているナオを楽しそうに見つめた。
 「ム、ムスビ!楽しそうに笑っている場合ではございません!早くしないとアヤさんがっ……。」
 「あーあー、わかったよ。少し落ち着いて。ナオさん。とりあえず、栄次に任せよう。」
 「お前も結局は俺なのか……。」
 ナオをなだめるムスビを横目で見た栄次は再びため息をついた。
 

 アヤ達はとりあえず、ファミレスで春野菜を使ったセットメニューを二人でつつき、ある程度お腹をいっぱいにした。
 「実はね……。」
 少し安心したこばるとがアヤにひかえめに声をかけてきた。
 「ん?どうしたの?」
 「実は神は別に食事をとらなくてもいいんだよ。僕達はこの世界に生きているわけじゃないんだ。僕達は人間から想像して作られたプログラムのようなものだからパソコンのデータと同じなんだ。」
 「あら……。そうだったの?じゃあ、こばると君はお腹がすいてなかったのね。」
 アヤはもう何を聞いても驚かなかった。驚く事が多すぎて今更驚けなくなったのだ。
 「うん……。まあ、食べなくてもいいんだけどやっぱりお腹はすくんだよね。電子機器の充電と同じ感じかなあ。高天原では皆、人間が想像した物を食べているね。その場にあって実はその場にない。想像物がデータ化されて置いてあってそれを体に取り込むみたいな感じ。はたからみると人間と同じように普通に食事しているように見える。」
 「へ、へえ……じゃあ、私もそうなるの?私、これから時神になるのよね?」
 アヤはからのお皿を店員に渡しながら尋ねた。
 「時神は人間から神に変わっていくから君の場合、まだしばらくは変わらないと思うよ。と、言っても時神の生が人間から始まるっていうのも人間が想像してできたルールなんだけどね。だから君は人間の想像から人間と変わらない仕組みにされたわけだよ。えっと、つまり今の段階でも君は人であって人じゃないんだ。」
 「なるほどね。私は人間に想像されて作られた人間って事ね。今は。」
 「そういう事だね。」
 「時神は人に見えるって言うのも人が決めたルールなの?」
 「うん。『昔から時神は人に紛れて生活をしている』って人間が決めたんだよ。」
 こばるとの言葉でアヤは神が人を支配しているのではなく、人の想像力が神を生み出していることを知った。
 「……人は考える力でルールを作り、それで自分達を無意識に縛っているわけね。」
 「ま、まあ……そう言われればそうかもしれないね。でも、この世界の人は皆けっこう楽しそうに生きているからいいんじゃないかな。それでも。」
 「そうね。人は考える生き物だもの。大脳が発達しているからね。」
 アヤはふふんと笑うとお冷に口をつけた。
 「大脳……。こ、細かい話はよくわかんないけど、そろそろ出ようか?あ、大丈夫、もう僕は君を殺そうなんて思わないから。歴史は元に戻したよ!」
 「え?あ、うん。」
 必死な顔のこばるとにアヤは戸惑いながら答えた。
 「僕、君といると……なんだか落ち着くんだ。同じ現代神同士だからかな。」
 「……こばると君……。」
 こばるとは小さくほほ笑むとそっと立ち上がった。アヤはそんなこばるとをせつなげに見つめていた。

テーマ:オリジナル小説 - ジャンル:小説・文学

ゆめみ時…1夜を生きるもの達7
 「あっ!」
 スズとトケイは驚いた。上空でずっと見ていたはずのサスケが消えていた。
 「サスケがいない……。」
 「もう……何が何だか……。」
 トケイはスズを抱きながら安全な空にいる。しばらくサスケを探していたがやはりサスケは近くにはいなかった。
 「ん?」
 スズが城から走って出てくる人影を見た。かなりの人間が城から逃げるように外に出てきている。
 「……なんかあったのかな……。」
 トケイが不安げにスズに目を向けた。
 「更夜……大丈夫かなー……。相手かなり強かったけど、襲われてたりしたら無事じゃすまないかも。」
 スズは心配そうに城を眺めた。
 「行ってみようか?」
 トケイが恐る恐る聞いてきた。スズは首を横に振った。
 「……。更夜に任せよう。わたしが行ってもあんたが行っても足手まといになりそう。忍は相手の弱みにつけこむのも得意だから。」
 「そっか……。じゃあ、ライを探そう。」
 「そうね……。今度は間違いなくあの男を仕留めるよ。」
 トケイとスズはお互い大きく頷いた。なんとなく城から出てきた人間を眺めていると人に紛れてやたらと速く走る人間が目に入った。
 「……?」
 「どうしたの?スズ。」
 トケイには見えていないようだった。
 「あれは……忍?何か……持ってる……。」
 スズにはその忍の姿ははっきりと見えていた。
 「?」
 「笛……。」
 忍が持っていたのは縦笛だった。スズの視力は自慢できるほどに良い。かなり遠くまで見渡す事ができた。おまけに動体視力もかなり凄い方だった。
 「笛だって!?」
 「声大きすぎ!」
 トケイの驚きの声に耳を塞いだスズはトケイの肩をポンポンと叩いた。
 「あれ、怪しすぎるねー。まさか優勝賞品?トケイ、とりあえず追うよ!」
 「う、うん。でもライは?」
 「みつからないモノを見つけるよりも見つかったモノから追及していったほうが後にいいの。落ち着いて今を見る。」
 「わ、わかった。」
 トケイはスズの指示した方向に高速で動き始めた。


 マゴロクがどこをどう走って来たのかわからないが城から離れた所で抱えていたライを降ろした。
 木々が覆い茂る森をマゴロクは歩き始めた。
 「あ、あの……。」
 「ついてくればいいよ。」
 不安な顔をしているライにマゴロクは優しく手を握り、微笑んだ。
 ライは仕方なくマゴロクに手を引かれ歩き出した。しばらく歩くと焚火の炎が揺れているのが見えた。何人かが焚火を囲んでいる。皆黒っぽい格好をしていた。
 その中にひときわ若そうな男がマゴロクを見て微笑んだ。
 「うまくいった?」
 「芸術神は連れてきた。絵括神だよ。主。」
 マゴロクは学生服を着ている若い男にライを紹介した。
 「あ、あの……どうも。」
 ライはとりあえず若い男に挨拶を返す。
 「ところであんた、月に行けるんだろ。」
 男はいきなりライにそんな事を聞いた。
 「月……?」
 「僕を月に連れてってくれよ。」
 男はライに近づいてきた。
 「え?えーと……無理だよ。あなたはもう弐の世界の住人だから……。」
 ライは戸惑いながら男に答えた。
 「無理矢理でも連れて行ってもらう。僕は月を経由して現世に戻らないといけないんだよ。マゴロク、僕の言うことをきかせてくれないかな?」
 男は狂気的に笑うとマゴロクをちらりと見た。
 「了解。……あんたの身体はもう動かない……。」
 マゴロクはライに糸縛りをかけた。
 「……っ!え!?う、動けない!」
 「悪いな。ビジネス対象に君は今、なってしまった。主の言うことをきけば痛い思いはしないよ。君は忍じゃないから選択肢をあげよう。」
 「そんな……。」
 怯えるライにマゴロクは冷たく言葉を吐いた。
 「素直に言うことをきけばこのまま何もしないが反抗するというなら俺は容赦しないよ。できればこのまま素直に言うことをきいてほしい。」
 「せ、選択肢も何も弐の世界の魂を現世になんて送れないよぉ……。弐の世界からもう一度、現世なんかに戻ったら魂がおかしくなっちゃうよ!」
 ライは半泣きで叫んだ。
 「別におかしくなってもいいんだ。僕はまだのうのうとあちらで生きているあいつを殺したいだけだから。そんでこっちの世界に連れこんで何度でも殺してやるんだよ。マゴロク、拷問しろ。いう事を聞けるようになるまでな。」
 男は狂気的にライを睨みつけた。
 「……や……やめて!あ、あなた、おかしいよぅ……。」
 ライはガタガタと震えながら目に涙を浮かべた。
 「……っ。」
 マゴロクは冷徹な瞳をしていてもその瞳が揺らいでいた。
 「マゴロク、何やってんだ。僕は主なんだろう?……っち、セイの演奏不足か。」
 「……!」
 男の言葉にライは反応した。ライはマゴロクの真黒な瞳を見上げた。
 よくマゴロクを見るとマゴロクのまわりには禍々しいが音括神セイの神力を感じた。
 「さすがにこれはビジネスだって言ってもなあ……。やりたくない。忍相手でもしかたなしにいままでやってたんだ。気を抜くと俺が死ぬからさ。だけどこの子は普通の子だ。俺はできないね。本当はセカンドライフで人殺しはしたくないんだよー。ショウゴ君。」
 マゴロクは男をショウゴと呼んだ。
 「ノノカとタカトもあの笛を狙っている……。あの笛は気がついたらこの大会の優勝賞品になってた……。セイにも逃げられて……僕はただ壱に行きたいだけだ。絵括神ライでも壱にいけるんだろ!だったら、もう笛なんてどうでもいいから連れてけるようにしてくれよ!マゴロク!」
 ショウゴと呼ばれた男はマゴロクに掴みかかる。
 「音括神セイは音楽で魂の俺達を主に繋いだ……。だがな、俺達は殺人鬼じゃない。もともとは隠密だよ。残酷な事がしたいわけじゃない。」
 マゴロクは怯えるライに目を向けた。
 「……セイちゃんを……知っているの?」
 ライは震えながらマゴロクを仰いだ。
 「俺は知らないなあ。主と残り二人の男女の間でセイと何かあったらしいがね。俺はその後、勝手に魂が主にくっついてしまっただけだよ。ただ、音楽を聴いただけなんだけどね。」
 マゴロクはふうとため息をつく。
 「ショウゴさん……セイちゃんと何があったの?」
 ライはマゴロクからショウゴに目線を移した。
 「……。」
 ショウゴはライの質問に何も答えなかった。


 スズとトケイは忍を追っていた。忍はもうこちらに気がついているようだ。お互い高速で森の中を進む。トケイはスズの指示でその忍と一定の距離を保っていた。
 「……女忍だね。やっぱり手に持っているのは笛。かなりのやり手だね。」
 スズが先を走る女忍の隙を狙うがまったく隙が見えなかった。
 刹那、突然空がカッと光った。
 「な、なに!?」
 トケイは驚いて上を見上げた。
 「大丈夫よ。そのまま追いなさい。右!」
 「う、うん!」
 トケイはウィングをうまく動かし木の幹を潜り右に曲がる。
 「上に意識を集中させて逃げる技よ。線光弾か何かを投げたんでしょ。」
 「へ、へぇ……。」
 トケイは圧倒されながら声を発した。
 「わたし達と対峙しようとしないって事は交戦を避けてわたし達を撒きたいって思っているって事。」
 「なるほど。うわっ!」
 スズの言葉に頷いていたトケイは急に驚きの声を上げた。トケイのウィング目がけて鉤縄が飛んできていた。スズはトケイのウィングに鉤縄が巻きつく前に縄部分を小刀で切った。鉤の部分は暗闇に落ちていった。
 ふとスズが前を向くと女忍がいなかった。
 「!」
 スズは何かを感じ後ろを振り向く。後方から八方手裏剣が飛んできていた。
 「トケイ!後ろ!」
 「え?」
 トケイは慌てて後ろを振り向いた。スズはトケイに抱かれたまま、小刀で手裏剣を弾いた。
 「いない……。」
 スズは周囲を警戒した。木の枝から枝へと飛び移る影が映った。
 「トケイ、あっちの森の中!」
 「え?い、いけるかなあ……。」
 トケイは困惑した声でつぶやきながら木々の間にウィングを滑らせた。木の枝を避けながら女忍を追う。刹那、突然女忍から火が上がった。
 「!」
 轟々と炎が女忍を包んでいく。女忍は炎に包まれているが何事もなかったかのように高速で動いていた。
 「……はっ……。トケイ!止まりなさい!」
 「う!?うん!」
 トケイは木にぶつかりそうになりながら危なく止まった。
 ……これは火遁渡りの術!
 「もうあそこに女忍はいない。あの凄い速度で燃えながら動いているモノはおそらく布か何か。それを糸を使いながら動かす。わたし達は糸で動いていた布を追いかけていたわけ。」
 「よ、よくわかんないけどあの女の人はいなくなったんだ?」
 「いや、近くにいる。」
 スズはトケイに下に降りるように言った。トケイは素直に頷くとそのまま地面に足をつけた。足をつけたトケイとスズの前に黒い影がヌッと現れた。
 「せっかく撒けたと思ったのに残念です。」
 スズ達の目の前にいたのは例の女忍だった。女忍は服を着ておらず、胸元にさらしを巻いて下は布一枚巻いてあるだけだった。
 「この術は相手に炎を追わせる術だからね。大概術者は近くにいると踏んだだけ。」
 スズはまっすぐ女忍を睨みつけていた。
 「ふう……自分の服まで燃やしたっていうのに……やっぱり忍相手では見つかってしまいますね。」
 女忍はやれやれとため息をついた。
 「う、うわー!ごめんなさーい!」
 女忍の格好を見てしまったトケイは顔を真っ赤にしてひたすらあやまっていた。
 「あら、うぶな子がいるのですね。」
 「そんな事はいいよ。あんたの持ってる笛、それ優勝賞品じゃなくて?」
 悶えているトケイの肩を叩きながらスズは女忍に質問した。
 「どうでしょうかねぇ?あなた、怪我しているのですね。サスケとマゴロクにでもやられましたか?ダメですね。女忍の主な術は色香。男に手を上げさせてはダメです。真っ向から男と対峙して勝てるわけないでしょう?相手の力をどんどん減らしていくのですよ。」
 女忍は色っぽく笑う。不思議と女のスズもそれに魅了されかけた。
 「話を逸らさないでよ。」
 「あら?何のお話しでしたっけ?」
 女忍は潤んだ瞳をそっと細めると微笑んだ。大した仕草をしているわけではないのだが不思議とそそるくらいに美しく見惚れてしまうほど艶やかに見えた。
 ……この女は色香に特化した女忍……。
 「チヨメ!笛は?」
 ふと木々の間から学生服を身に纏った少女が現れた。
 「ノノカちゃん……いい時にきますね……。悪い意味ですけど。」
 チヨメと呼ばれた女忍は現れた少女をノノカと呼んだ。
 「それより笛。」
 「はいどうぞ。主。」
 ノノカが急かすように手を出してきたのでチヨメはため息をつきながら持っていた笛をノノカに渡した。
 「あんがと。これでセイを捕まえられるかな。」
 ノノカは笛を奪い取るとクスクスと笑った。
 「……ねえ、スズ……。」
 「しっ。」
 トケイはスズに声をかけようとしたが止められた。スズは手をわずかに動かし、綿毛を風に流した。
 ……風移しの術を使って笛がここにある事を伝えないと……。きっと優勝賞品だったこの笛はチヨメって女忍に盗まれたんだね……。更夜……気づいて。
 スズはノノカとチヨメが逃げた時に対応できるように静かに構えた。
 それを見たトケイもスズに習い、二人に隙をつかれないように気を引き締めた。

テーマ:オリジナル小説 - ジャンル:小説・文学

かわたれ時…1月光と陽光の姫7
 ……あれ?オレ……どうなったんだろ……。
 チイちゃんはぼやっとした中、目を開けた。何故だかすごく眠たい。
 「もし……。もし……。しっかりしてくださいまし。」
 優しそうな女性の声がする。チイちゃんは誰かに揺すられていた。
 「ん……?」
 チイちゃんは焦点の合わない瞳で揺すっている者を見た。最初に瞳に映ったのはきれいな女性の顔。その次に烏帽子。その次はピンクのストレートロングヘアー。
 「もし!起きてくださいまし!」
 先程よりも揺すり方が激しくなっている。チイちゃんは徐々に我に返ってきた。
 「ほえ!?」
 しばらくしてチイちゃんは不思議な声を出し、がばっと起き上った。
 「あら、目が覚めました?」
 「……んん!?ひ、ひざまくら!ひざまくらぁ!」
 チイちゃんはこのきれいな女性にひざまくらをさせていた事に気がついた。状況を思い描き、顔を真っ赤に染めた。
 ……ひ、ひざまくら……だと!
 ついこないだまで刀だった事もあり、女性にあまり触れた事のなかったチイちゃんは異常に興奮していた。
 「も、萌える!」
 「大丈夫ですよ。あなたは燃えていません。怖い夢を見たのですね。」
 「え?えーと……。」
 女性は丁寧に答えてくれた。チイちゃんは真っ赤のまま改めて女性を観察した。見た目は白拍子だ。大人な女性という感じで物腰も柔らかい。色々とチイちゃんのドツボだった。
 「やっと戻ってきましたね。わたくしの刀……。」
 「……ん?」
 女性はチイちゃんの頭をそっと撫でた。チイちゃんは戸惑いと気恥かしさで真っ赤になったり戸惑ったりしている。
 「あら、わたくしを覚えていないのですか?わたくしは月照明神。あなたの持ち主です。まさかあなたが人型になって戻って来るとは思いませんでしたが……。」
 「月照……明神……?」
 微笑んでいる月照明神の顔を眺めながらチイちゃんはぼそりとつぶやいた。


 「なんであんたなんかが……。」
 月子はサキを睨みつけながらつぶやいた。
 「……?」
 サキは何の事を言っているのかわからず訝しげに月子を見ていた。月子は憎しみに満ちた顔で刀を振りかぶってきた。
 「サキ!」
 みー君が叫んだと同時にサキは素早く横に避ける。霊的着物を着ているため、体はかなり軽い。月子の斬撃もうまくかわせた。月子は間髪を入れず刀を振るう。
 「ちょっと!落ち着きなって!」
 サキはなだめるように月子に話しかける。もちろん、斬撃を避けながらだ。
 「うるさい!死ね!」
 「死ねって……こら!そんな言葉使うなってば。」
 月子の斬撃はサキを殺傷するために放たれている。冗談ではなく本気でサキを消そうとしているらしい。
 サキは剣で月子の刀を危なげに受ける。悔しいが月子の剣術能力は高い。しっかりと避けたはずだが肩先の着物がバッサリと裂けていた。
 「……っち……。」
 サキは露わになってしまった右腕を押さえ、苦渋の表情で月子を見つめた。
 「あら。右腕をもらうはずだったのに。ざーんねん❤」
 「サキ!」
 みー君が慌ててサキに向かい走り出したがすぐに月子のカマイタチで動きを止められてしまった。
 「あんたはそこにいろ。邪魔。」
 月子がしゃべるのとみー君がカマイタチを避けるのが同時だった。
 「月子、お前……!」
 「邪魔しないで。天之御柱神……。あんたには関係ないから!」
 「関係ないだと。誰のせいでこうなってんと思ってんだ。俺はサキの護衛を頼まれた。お前からサキを守れとワイズに言われている。これはおかしいと思うんだが。サキよりも先輩のお前が月を乱し、サキを消し、お前は一体何がしたい?」
 月子の叫びにみー君は冷静に答えた。それが怒りに触れたのか月子がさらに感情を爆発させた。
 「あんたには関係ない!……サキ、あんたはいいねぇ。こんな守ってくれる者まで現れて太陽を助けてくれる神が沢山いて!太陽を奪いグチャグチャにした欲深い人間の娘だっていうのに!」
 「……!」
 月子がゆっくりとサキの方を向く。刹那、サキの眉がぴくんと動いた。
 「知ってるよぉ。あんたの母親は概念化しているアマテラス大神を無理やりその身に宿して神になろうとした巫女なんでしょ。そんなやつが太陽を統べれるわけないわよねぇ?だいたい……人間だし。」
 「お母さんを侮辱するな……。」
 先程と明らかにサキの表情が変わった。月子はそんなサキを眺めながら涼しげに話し出す。
 「ほんと、消えて正解。太陽をぐちゃぐちゃにしてそのままポイとはどこまでも腐った親だわね。あんたはその女の娘なのになんでそんなに呑気にしていられるの?親も親なら子も子ってことね。」
 「あたしを馬鹿にするのはいい……。だけど、お母さんを馬鹿にするのは許さない!」
 月子の発言でサキの怒りが爆発した。たとえどんな親でも親を馬鹿にされるのは子供として耐えられない。サキもそうだった。もう冷静にはなっていられなかった。
 ……お母さんは確かに最低だった。だけどそれをこいつに言われる筋合いはない!
 サキは月子の刀を乱暴に振り払った。
 「サキ?」
 みー君はサキの変貌ぶりに戸惑い、そこから近づく事ができなかった。
 ……お母さんはあたしなんて見向きもしてくれなかったけど!でも……それでも……
 サキは感情を制御できなくなっていた。まわりに不必要な炎が噴き出す。
 「やめろ!サキ、落ち着け!」
 みー君の言葉は最早サキには届かなかった。
 ……それでも!あたしはあの人の娘だった!
 サキは月子に剣を振るう。容赦のない一撃を月子はかろうじて受けた。
 「何よ。いきなり感情的になっちゃって。」
 「ふざけんな!あんたに何がわかるっていうんだい!あんたがお母さんの何を知っているっていうんだい!何もわかっていないくせに偉そうに言うな!」
 サキはまた乱暴に刀を弾くと剣を振りかぶった。
 「そんな最低な人間の事なんて知りたいとも思わないわ!その娘であるあんたをなんでどいつもこいつもかばうのか私には全然わかんない!」
 月子も刀を振るう。刀を振るっている内に月子からツクヨミ神の力が溢れ出した。
 また、サキからもアマテラス大神の力が噴き出した。
 お互いが凄まじいエネルギーをおびながら武器を振るい合っていた。サキも月子も体中斬りきざまれながら怒りの感情のみでぶつかっていた。
 「やめろ……。」
 みー君が危機を感じ二人に向かい走り出す。ウサギは震えながら近くの柱に隠れていた。
 「おい!止まれ!やめろ!」
 膨大なエネルギーを持っている二人がぶつかり合ったら何が起こるかわからない。それにみー君は女性同士が殺し合うのを見たくなかった。
 「やめろ!」
 斬撃が飛び交う中、みー君は二人の間に立った。
 「やめろって言ってんだろうが!」
 みー君の神力が一瞬、時を止めた。
 「み、みー君!」
 サキが驚いて剣を引いた。赤い液体が大量に宙を舞う。みー君は色々と遅かった。
 みー君は二人を止めようと神力を放ったが間に合わず、二人の斬撃をその身に受ける事になってしまった。サキはみー君の背中を深く斬り、月子はみー君の胸から腹を思い切りえぐった。
 「がっ……。」
 みー君は口から血を吐きながらその場に崩れ落ちた。
それを見た月子は楽しそうに笑っていた。
 「あら……斬っちゃった。好都合だわ。ふふ……。」
 「そ、そんな……みー君……。」
 月子は絶望的な顔をしているサキを一瞥するとみー君を破壊されたエスカレーター部分から突き落とした。刹那、落ちゆくみー君の遥か下に宇宙空間が出現した。きれいな星々がサキには悪魔にしか見えなかった。まるでブラックホールのようにみー君はその星空に吸い込まれていく。
 「みー君!みー君!」
 サキは必死で手を伸ばしたがみー君に手は届かなかった。
 「ふふ……。弐の世界で永遠に眠りなさい。」
 月子はクスクスと笑いながら落ちていくみー君を冷たく見つめた。
 「……お前ら……落ち着けよ。せっかくのきれいな身体……傷になるぞ……。」
 みー君は最後にそうつぶやき、宇宙空間に飲まれ、跡形もなく消えた。
 「みー君……そんな……。みー君……あたしがみー君を……斬った?」
 うなだれ震えているサキは立っている事ができずその場に座り込んだ。まだ手に肉を断ち切った感触が残っている。サキの頭は真っ白になった。
 「さて、じゃあ、これで二人きりだわね。サキ。」
 月子が平然とサキの頭を足で踏みつぶした。
 「あんた……みー君に何をしたんだい……?」
 「何をしたって弐の世界へ連れてっただけよ?もう戻ってこないと思うけど。」
 「みー君をあたしが……。みー君……。」
 サキは耳を塞ぎ、震えながら涙を流していた。
 ……おかしくなってたあたしを止めようとしてくれてたのに……あたしは彼を……。
 サキは震える手で剣を握ったが握りきれず剣はそのまま地面に落ちた。手についた血を見て震えはいよいよひどくなった。
 ……もう何も考えられない……怖い……。
 「ふふ。無様ね。サキ。もうあんたを守ってくれる者はいない。あんたは助けてくれる者の影でふんぞり返っていただけなんだから奪っちゃえば私はあんたを容赦なく蹴落とせる!」
 月子は戦意喪失しているサキの顔を蹴り飛ばす。
 「っぐ……。」
 サキは顔を押さえ立ち上がろうとするが身体の震えがおさまらず立ち上がる事ができない。
 「満身創痍ね。ふふふふ!あははは!」
 月子は狂気的に笑いながら絶望しきっているサキを蹴り続けた。

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