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ごぼうかえるのTOKIの世界!
皆に元気を与えたい! 前向き楽しいブログを目指す(*^.^*) 口蓋裂の娘ちゃんと軽いADHD、軽いチック症状を持つ旦那と楽しくのんびりな日常をドールちゃん達が紹介する! 独自世界の幻想日本神話、自作小説書いています! 神と人形と人間と霊、そして『K』の季節感じる幻想データ世界TOKIの世界へようこそ! 和風SF日本神話の世界です( ´∀`)
流れ時…1ロスト・クロッカー2
メガネの少女はパソコンに向かいながら頭を捻らせる。
……時神は時を渡らなくちゃ始まらないよね……。
しかし……私はこのアヤに……会ったことが……いや、会った気がする。

※※

「ふう……無事についた……」
男の子は少女の手を放すとため息まじりにつぶやいた。
少女は恐る恐る目を開く。
「……。」
目の前には時代劇の風景が広がっていた。
木でできた年代物の瓦屋根の前を青物売りが足早に通り過ぎて行く。
そして頭には髷が……
二本差しの侍まで舗装されていない狭い道を歩いている。
狭い道のわきにはたくさんのお店が並んでいて着物を着た看板娘がお客を入れようと必死になっていた。
「嘘……。」
少女はぺたんと地面に座り込んでしまった。
「ど……どうしたの?」
男の子はいきなり力が抜けてしまった少女を心配そうに見ている。
「ど……どうしたって……なに?ここ……」
「うーん……よくわからないけど……江戸後期くらいみたいだね。ちょうどいいや。確かこのくらいの時代のこのへんに過去の時神がいたはず……この時間軸だとたぶん、当時の僕もいると思うんだけど……歴史変わっちゃうから僕は僕に会っちゃいけないし……ええーと……」
少女は一人でぼそぼそと謎な事を口走っている男の子の声を聞いていたらなんだか泣きたくなってきた。
理解してしまった。
冗談の世界ではなくこれはリアルな世界なんだと……
よくわからないが私はお話によくあるベタなタイムスリップをしたのだと……
「ニホンの時計が狂っているという事は僕か、過去神か、未来神の誰かが狂っているんだ……。あ……そうだ。僕は現代神って呼んでね。君は?」
「……アヤ。」
アヤと名乗った少女は頭を整理しているのか下を向いたまま固まっている。
「ここにいてもしょうがないし……アヤ、まずは服を着替えよう。……?どうしたの?」
「……ふぅ……なんでもない。そうしましょう。」
連れて行ってくれと自分で言った手前、現代に戻してくれとは言えなかった。
ので……やけくそになる事にした。
すくっと立ち上がるとまっすぐ現代神を見つめる。
「な……なに?」
アヤの目線に現代神はまたおどおどし始める。
「あなた、本当に時の神様なのね?」
なんとなく確認がしたかった。少なくとも自分と時計が彼のそばから離れなければいつでも現代に戻れる。そう思うとなんとなく安心できた。
「と……時神だよ。そんな顔で見ないでよ。」
アヤは知らないうちに睨みつけていたらしい。慌てて顔をもとに戻した。
「で?どうするの?」
「とりあえず、これに着替えて。」
現代神は学生服に手を突っ込むと着物を二着取り出した。
「どこにそんなもの入ってたのよ……。用意がいいわね。」
「とりあえず、着てよ。」
二人は人気のない茂みへと移動した。
「じゃ、じゃあ、僕は向こうで……着替えるから……その……」
「なに?」
「の、のぞかないでよ……」
現代神は顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。
「はあ?……見たくもないわ。はやく、着替えに行きなさい。」
ふつう……逆……じゃない?
慌てて走り去る現代神を目で追いながらアヤは深いため息をついた。


絶対に綿ではないぼろぼろの着物に着替えた二人は『ぜんざい』と書いてある店の前にいた。
ぱっと見て二人は農村の子のイメージである。
「ええと……ここ、たぶん、京都だね?」
「京都……。で、いつ?」
「……時代がいまいちわからないけど大火前かな……。」
一七七八年三月に京都の八割を燃やした天明の大火の事だ。
その事を知らず、人々は陽気に通り過ぎて行く。
「火事が起こるって言ったらダメなのよね?」
「歴史が変わるからダメ!絶対ダメだからね!」
アヤのつぶやきに現代神は声を荒げた。
それだけ歴史を変えることはいけない事なのだ。
「わかった。」
アヤが残念そうに言うと現代神はうんうんと頷いた。
「まずは過去神を探さないとね……。過去神は僕と同じく普通に生活していると思うんだ。」
そういえば彼は学生服を着ていた。現代神なのに高校か中学に通っていたらしい。
「時の神って人間に混ざって生活しているものなの?」
「その方が常に時計を監視できるからね……。」
「ふーん。」
現代神が道を歩き始めたのでアヤもその後を追う。
しばらく歩くと大きな建物が見えてきた。
どうやらお寺のようだ。
「あれ……西本願寺?」
「そうだね。ん?」
現代神は前を歩いている者に目を向けた。
「どうしたの?」
「黒衣……黒袴……新撰組?」
アヤは現代神が見ている方向を見た。そこには黒い陣羽織に黒い袴を着た男が多数集まっていた。
「え?新撰組ってあさぎうらの着物じゃないの?」
「新撰組があのダンダラを着ていたのは一年足らずだよ。それからずっとああいう黒ずくめの格好をしているんだ。……大火の時代じゃなかったのかな。百年近く違うもんね。新撰組が西本願寺にいるって事は一八六何年……くらいなのか?」
「そうなの?」
二人が不安そうに会話をしていると後から異様な気を感じた。
振り返ろうとした時、自分の肩に大きな手が置かれていた。
「どけ。小娘。」
なんだかわからずアヤは現代神のもとに突き飛ばされた。
「わっ……。」
現代神はアヤを受け止め、アヤを突き飛ばした者を見る。
背が高く眼光鋭い侍だった。こげ茶の髪を後ろでひとまとめにしている。ちょうどポニーテールのようだ。いや、この場合は総髪というのが正しいか。
茶色の瞳で二人を睨みつけている。
「っ……なに?」
アヤも男に目を向ける。
「い……いきなり突き飛ばすなんて……し……失礼だと思いませんか?」
現代神は震える声で必死に抗議したが侍は
「……斬らなかっただけありがたいと思え。」
とそう言うと新撰組がたむろしている方へ歩いて行ってしまった。
「……」
二人は恐怖心で何も言えなかった。
その後、変な感覚が襲ってきた。
気がつくとさきほどまでいた新撰組の者が血を流して倒れていた。
「え?」
何があったかわからない。
知らないうちにあの侍が新撰組のいたところに立っていた。右手に抜き身の刀を持ち、その刀から血が滴っている。
「……き……斬った……」
「……?」
現代神が震えながらつぶやく。
どうやら現代神はなにが起きたかわかっているようだ。
「!」
アヤも状況が見えてきて小さく悲鳴を上げた。
「……時神……過去神……。」
現代神は侍を睨む。
「え?あ、あれが過去神?」
「たぶんそう。さっき、アヤ、君は止まっていた。そして前を歩いていた彼らも止まっていた。動いていたのは……僕と、あの侍だけだ……。あの侍が……時間を止めたんだ……」
眼光鋭い侍がまっすぐにこちらを見ている。
背筋が凍りそうな感覚でアヤは気を失いそうになったがかろうじて立っていた。
「……。そうか……お前が時の神か……。この世の行く末を案じたか……。」
過去神の言葉に現代神は意味深な笑みを浮かべた後、言う。
「そうだよ……。僕は現代神。君は僕の時代では参(さん)の世界と呼ばれている世、過去にあたる。」
「なんの用だ。」
「君、時間を狂わせているね?」
「さあな。」
過去神は刀の血を新撰組の羽織で丁寧にぬぐいとると鞘に戻し、着物を翻して消えて行った。現代神は過去神が消えた後、すっかり存在を忘れていたアヤに目を向ける。
「うええ……」
アヤは死体を見て気持ち悪そうにしている。
「大丈夫?」
現代神はアヤの背中をさすった。
「そ、それより、あの人達死んだの?」
「さあ……ここからじゃわからない。けど、死んでいたらまずいね。現代に生きているかもしれない子孫が消えてしまう……。」
「それ、まずいどころじゃないじゃない……。」
「もっと前の時代に戻って彼らが襲われるのをなかった事にすればいいから今は過去神を追おう。」
気がつくと周りがガヤガヤとしていた。
「辻斬りか?」
「新撰組?」
「また過激派か?」
などときれぎれに言葉が聞こえてくる。知らないうちに野次馬が血を流して倒れている新撰組のまわりを囲んでいた。
「永倉さん……どうしますか?犯人捜ししますか?」
「待て。総司。とりあえず近藤さんと土方さんに報告するのが先だ……。また隊士がやられたか……。」
聞きなれた名前がアヤの耳に入った。
後を振り返ると侍と思われる男性二人が立っていた。
一人は身長が低く色白な顔で目つきはかわいらしい。
もう一人は背が高く目つきが鋭い偉丈夫である。
二人ともちゃんと髷を結っている。
「沖田総司と永倉新八……」
アヤは一発でわかった。
小さい方が沖田、大きい方が永倉だ。
二人はアヤと現代神の横を通り過ぎ、野次馬の中に入って行った。
「僕達は早く過去神を探そう。なんで新撰組を襲っているのか謎だし。」
「う……うん。」
本物を見る事ができたことに感動して話しかけに行く所だった。
危ない。危ない。
アヤは頬をパンパン叩くと現代神の後ろを歩きはじめた。


夕陽が差し込む。
店はどんどん閉まりはじめている。
習い事などが終わった子供が長屋へ帰って行くのがちらちら見えはじめる。
探し始めて何時間たったか……
さすがに疲れてきた。
過去神は一向に姿を現さない。
「そろそろ……暗くなるし明日にしようか。」
「いいけど……どうするの?」
「宿行こう。」
「お金あるの?」
「あるよ。この時代が管轄だった時にすこしだけとっておいたんだ。」
現代神は手から手品のように慶長小判や万延大判、寛永通宝など年代バラバラなお金を取り出す。
「けっこう……大金だと思うんだけど?」
「これのどれか見せればたぶんヒットするよ!」
「てきとう……。」
「ま、まあ、いいじゃないか。行こう?」
二人は近くの旅籠の中に入って行った。
案の定、なんかのお金がヒットしたのか番頭の顔つきがコロッと変わっていた。
現代神とアヤは二階にある二人部屋に通された。
床は畳で行燈が唯一の光源だった。
「個室にしてくれたんだね。いい旅籠だね。」
そう言うと現代神は少し湿った布団をひくと横になった。
「ねぇ、時計使って現代に戻って寝れば良かったんじゃない?」
「うん、まあ、でも、もうお金払っちゃったし。」
その言葉を最後に現代神はごろんと寝返りをうち、何も言わなかった。
現代神からかすかな寝息が聞こえてきたのでアヤも薄っぺらい布団をひいて横になった。
しかし……寝られない……
横になって目を閉じていると色々不安になってくる。
だいたいここはいつもなじみがあった場所ではない。
当たり前だわ……。さっきまで現代にいたのよ?
それに現代神がいなくなったら自分はもう現代に帰れない。
とりあえず、怖くなった。
怖くなったので気をまぎらわそうといつも常備している紙とボールペンでためしに未来の時計を描いてみた。
こんな時計しか思い浮かばないな。未来の時計ってどうなってんだろう。
アヤはなんとなく3200年と書くとどこにでもありそうな時計の絵をぼーっと見つめた。
しばらくいろいろ模索してみたが疲れのせいか強い眠気が襲ってきた。
アヤは夢の中に引きずり込まれた。
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