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ごぼうかえるのTOKIの世界!
皆に元気を与えたい! 前向き楽しいブログを目指す(*^.^*) 口蓋裂の娘ちゃんと軽いADHD、軽いチック症状を持つ旦那と楽しくのんびりな日常をドールちゃん達が紹介する! 独自世界の幻想日本神話、自作小説書いています! 神と人形と人間と霊、そして『K』の季節感じる幻想データ世界TOKIの世界へようこそ! 和風SF日本神話の世界です( ´∀`)
ゆめみ時…1夜を生きるもの達5
 「はーい。では予選を通過した六人の最終決戦を行います。」
 マイクを持った女性が楽しそうに声を上げた。
 お城の内部、シャンデリアが眩しい大きなホールで味覚大会が開かれていた。床は赤い絨毯がひかれ、白いテーブルクロスが高級そうな長テーブルにかぶっている。椅子は金色をしていて高級感あふれているが忍からすると眩しすぎるようだ。
 その長テーブルに六人の予選通過者が座っていた。その内の一人は更夜だ。更夜はライが色々やっている間に予選を通過していた。忍ではなさそうな残りの五人は自信を持ち、運ばれてくる料理を待っている。着物で座っているのは更夜だけではなく、ちらほらといた。まわりにはギャラリーも多く、応援する声がしきりに聞こえてくる。ギャラリーの服装もまちまちだ。洋服の人もいれば着物の人もいる。服装は自由らしい。
 「……。」
 更夜はしきりにまわりを警戒していた。
 まわりは嬉々としている。場に合せて更夜も楽しそうにふるまっていた。
 やがて料理が運ばれてきた。黒い椀にお吸い物が入れられていた。
 ……次はこれをあてればいいんだな。
 更夜が箸を持ち上げた刹那、クナイが飛んできた。更夜はそれを箸で防いだ。そのままクナイを床に落とす。
 司会をしていた女性がすかさず声をかけてきた。
 「大丈夫ですか?」
 「ええ。問題ありません。ごめんなさい。お箸が割れていたので変えてもらえませんか?」
 更夜は紳士的に微笑むと折れた箸を女性に渡した。
 「割れていましたか!大変申し訳ありませんでした。今、変えてきますね。」
 女性は顔を青くすると慌てて箸を取りに行った。
 ……観客、司会は気がついていない。クナイは観客がいる部分から投げられた。
 更夜は鋭い瞳で人影を探す。一瞬、黒い影が動いた。更夜はすかさず、下に落としたクナイを拾い上げ、影に向かい投げた。
 当たったかどうかはわからないが影は消えた。
 ……俺を狙う奴は誰だ……。サスケか?
 司会の女性がおずおずと箸を持って来た。
 「ご迷惑をおかけいたしました。」
 「いえ。こちらこそお手数をおかけいたしました。」
 更夜は柔和に笑い、小さく頭を下げた。女性は更夜の態度が気に入ったのか頬を赤らめると微笑みながら去って行った。
 ……さて。
 更夜は吸い物を口に含む。またクナイが飛んできた。更夜は椅子に座ったまま少しだけ身体を動かし、クナイを避けた。
 ……またか。俺が避けても影縫いをするつもりだったか。
 更夜は後ろに突き刺さるクナイをちらりと見た。更夜が身体ごと動いたのでクナイは更夜の影に刺さる事はなかった。
 影縫いは影を縫いつける忍術。術にかかればその者はその場から動けなくなってしまう。
 ……まったくスズ達は何をしている……。
 更夜はあたりに気を配りながら入っている物を紙に書いていった。


 「芸術神……絵括神ライはどこにいるんだ?」
 茶髪の短い髪をオールバックのようにしている男がスズを見据え冷たく声を発する。瞳は冷徹で鋭い。茶色のダウンジャケットのポケットに手を入れている。
 「あんたもずいぶん、どす黒い目をしているんだね。誰だか知らないけど。」
 スズは今、子供の姿になっている。子供の姿の方が身軽に動けるからだ。
 ここは城の外、城門よりは少し離れている場所だ。暗闇の中だがお互い相手をハッキリ見ていた。
 スズは突然、この謎な男に襲われた。
 「いないよ。ここにはね。」
 スズはにやりと相手を見て笑った。
 「そうかよ。やってもいいがお前は負ける。」
 そうつぶやいた男は突然スズの前から消えた。リーンリーンとどこからか鈴の音が聞こえてきた。
 ……鈴の音?
 「!」
 気がつくと男はスズのすぐ後ろに立っていた。風を凪ぐような音が聞こえ、スズは身体を前かがみにした。スズの頭を何かが滑るように通り過ぎて行った。スズは慌てて男から距離を取る。
 ……今のは回し蹴りだね……。女の子の顔目がけてって酷い男。
 ふと上を見上げると何本ものクナイが同時に降ってきた。スズはそれらを軽く避ける。
 ……強い……それに速い!
 スズはまた後ろをとられていた。今度は横に飛んで逃げようとしていた刹那、スズの眼下に男の髪が映った。
 ……いつの間に!前に?
 スズの後ろから身体を低くし、スズの視界に入らない下から前にまわったようだ。
 スズは顎を狙ってきた男の拳を掌で防ぐ。そしてまた大きく距離を取った。
 ……っち……右手で防がなきゃ危なかった。腕の骨……いったかな……。
 スズは身体を低くし、なるべく高身長の男の視界に入らないように動いた。四つ身分身を使いながらクナイを投げる。小刀を右手に持ち男の隙を狙う。
 スズは高速で動きながら小刀を投げつける。
 ……傀儡の術……
 スズの小刀はまるで生き物のようにあちらこちらに動き出した。小刀に糸を巻きつけ、あたりの木などに糸を引っ掛けて動かす術だ。繊細な指の動きが必要となる。
 ……焔……
 動き出した小刀に突然火がついた。男は変則で動き出した小刀を避け、スズが投げる手裏剣も避けている。
 ……これでもう一つの小刀で奴の首を取る。
 スズは四つ身で手裏剣を投げつつ男の背後に移動した。男は小刀を避ける事で精一杯だ。
 ……もらった。
 スズがもう一つ持っていた小刀を懐から出すと男の首を狙って飛び上がった。
 刹那、男はスズとは逆方向に手裏剣を投げた。小刀は急に力を失い、燃えながら地面に落ちた。男はそれを確認した後、首を狙うスズに振り向き、スズの脇腹を思い切り蹴りつけた。
 「うぐっ……。」
 スズは遠くに飛ばされ木に激突した。
 「良い線はいっていたな。闇夜に傀儡の術かね。炎でメカクシも同時に……。確かに夜だと糸は見えにくく、炎は眩しい。お前の所は居酒屋だったな。酒を使って火を起こしたのか。」
 男は無表情でスズを見据えた。
 ……ぐうたら言ってると痛い目見るよ……。
 スズは痛みに顔をしかめながらふふっと笑った。そして指をわずかに動かす。
 「!」
 男は何かに勘づきさっと横に避ける。横に避けたが頬からは血が滴っていた。ふと気がつくと男の目の前には小刀が刺さっていた。先程スズが持っていた小刀だ。スズは懐に忍ばせていた小刀にも糸を巻きつけており、傀儡の術をもう一度行ったのだ。
 「残念だね。あんたはもう動けない。」
 ……影縫いの術……
 スズは脇腹を押さえフラフラと立ち上がる。先程の燃えている小刀で男には影ができていた。その影に懐から出した小刀が刺さっていた。
 「なるほど。お前はかなりできる忍だよ。でも幻覚にかかったな。」
 ふと声が後ろから聞こえた。
 「!?」
 男は動けないはずだがその場にいなかった。幻のように溶けて消え、その場には太い木の幹が一本刺さっているのみだった。
 ……幻覚!
 男は後ろからスズの首を絞めつけた。
 「お前は動けない。抵抗の色をなくす。鈴の音がだんだんと心地よくなってくる。」
 リーンリーンとどこからか鈴の音が聞こえる。
 ……っち……しくったね……こいつ……最初からわたしに催眠術と幻覚を……。
 「鈴の音が心地いいだろ。この心地よい鈴の音を聞いた段階でお前はもう終わってたんだ。これ、効かない奴のが多いんだけどな。」
 スズの身体はもう動かない。動き方を忘れてしまったかのようだった。
 ……畜生……眠い。寝たら完全に催眠にかかる……。鈴は……どこから……鳴ってる?
 スズは動かない身体で鈴の位置を探す。
 ……鈴はこんなに鳴らない……動物かなんかにくくりつけているんだね……。
 スズは暗くなっていく瞳で音を探す。草むらから黒い影が動いたのが視界に映った。
 ……そこだ。
 スズは先程男の影に差した小刀を動かした。指を使い小刀に巻きつけた糸を操る。鈴の音が突然止んだ。
 止んだと同時に猫が一匹草むらから顔を出した。巻きつけられた糸がきれている。
 スズが小刀で猫に巻きついていた糸を切り、鈴をはずしてやったのだ。
 鈴の音が聞こえなくなるといままでぼうっとしていたのがウソのように体が軽くなった。
 「やっぱりばれたかね。催眠でしゃべった方が楽だったのにな。こちらもめんどくさくなくていいしな。」
 男はスズの腕を取ったまま地面に押し付けた。
 ……さすがに男相手に力で戦おうとは思わない。このまま関節をはずして逃げるか。
 「無駄だ。」
 男が冷たい声を発した。急にスズの身体は動かなくなった。
 気がつくと足首と手首に蛇が巻きついていた。男はスズを仰向けにさせる。
 ……動物を使う……忍……。
 「心配しなくていい。こいつは俺の命令でしか動かないから。噛まれたら死ぬけどな。さあて、もう一度言う。芸術神ライはどこだ?」
 「ふん。忍相手に『これ』やるの?時間の無駄になるよ。」
 「さあ……どうだか。」
 男は冷酷な表情のままスズの首筋からそっと胸に手を伸ばす。
 「……っ。」
 スズに少しだけ怯えが浮かんだ。
 「なんだ?女忍は色香を使えるんだろう?……なんか過去にトラウマでもあるのかね?え?」
 「ふふ……馬鹿な男。何をされてもしゃべらないわよ。忍だもの。」
 スズは男に笑ってみせた。男は冷酷に笑うとスズの顔を思い切り殴りつけた。
 「舐められたもんだな。」
 「ほんと……容赦ないわね……。わたし、一応女の子なんだけど。」
 スズは別段痛がるそぶりも見せず男を見据えた。
 「まあ、お前が忍じゃなかったら俺は手をあげないがね。さすがに女に拷問はしたくないよ。まあ、ビジネスとプライベートの違いさ。」
 「あーそう。もうどうでもいいわ。好きにしなさいよ。」
 「忍は皆こうだからイヤなんだよ……。まずは腕の一本からいってみるか。」
 男は無表情のままスズの腕に手をかけた。


 「な、何しているんですか!」
 男がスズの腕に手をかけた時、女の叫び声が聞こえた。
 「ん?」
 男はすぐ近くにいた女をじろりと睨む。
 「はあ……あんた、来ちゃダメよ……。今は特に……。」
 スズは金髪の女を見上げながら大きくため息をついた。
 「スズちゃん!」
 「ん?お前は……居酒屋の……。」
 金髪の女はライだった。男はライをじっと見つめ、目を見開いた。
 「なるほど。あんたが居酒屋に入り込んだ男だったのね。変装してたからわかんなかった。」
 スズの鋭い質問に男は顔を曇らせた。
 「っち。口が滑ったな……。しかし、この子……忍じゃないのか……。」
 男はそれに動揺していたようだった。
 「あんたねー、この子に軽い火傷を負わせたのよー。忍でもなんでもないこの子にー。」
 スズはやれやれとため息をついた。
 「スズちゃん!大丈夫!ちょっと、あ、あなた、何しているんですか!酷い!これ暴行です!レイプです!」
 ライはビクビク怯えながら男の近くに寄る。
 「ひ、人のやる事じゃないです!目を覚ましてください!」
 ライは男をそっと揺すった。
 「う……えーと……そうだねー……。そ、それよりも君の……て、手の傷は大丈夫かな?女の子だし……傷残ってしまったら大変だし……。本当にすまない。知らなかったんだ。忍だと思ってた。」
 男はかなり動揺しているようだ。目があちこちに動いている。
 ……わたしの顔を思い切り殴って腕まで折ろうとしたこいつがまるで別人ね。敵の忍を人外とでも思ってるのかな。でも……この男、ライが芸術神だって気がついていない……。
 「ねえ、君、芸術神ライを知らないかな?」
 「え?それ私です!」
 男の質問にライは素直に答えた。
 ……ばかーっ!
 スズは心から叫びたい気持ちになった。
 「そうか。君だったのか。ちょっと来てもらうよ。」
 男はすっとスズから離れるとライに近づいた。
 「ちょっ!ちょっと待ちなよ!っちぃ!」
 スズが立ち上がろうとしたが蛇に押さえつけられてしまった。
 「俺も今の主人に雇われているんでね。大丈夫。俺は女の子には暴力は振るわない。優しく扱うさ。同業者は別だけどな。」
 男はスズの方に冷酷な瞳を向けるとライを優しく抱きかかえた。
 「あ、あの……。もしかしてスズちゃんのお友達さんとかでしたか……?」
 「ん?ああ、そんなもんだね。」
 男はそう言うとライに優しく微笑みかけ、その場から忽然と消えた。
 「あんの野郎ォ……。」
 スズのまわりにはもう蛇はいなかった。後をつけようかと思ったがもう見つからず、あたりは静かな闇の中だった。
 「スズ?どうしたの?こんなところで座り込んで。」
 ちょうどタイミングよくトケイが木の影から顔を出した。
 「あ!あんたね!どこ行ってたの!今、大変だったんだから。なんでもっと早く来なかったの!」
 トケイは来て早々、スズに怒りをぶつけられた。トケイはなんだかわからずただ、戸惑っているばかりだった。
 「え?え?僕は一度この世界から出て、ライをとりあえず僕達の家に帰してあげようかなって思って世界から出たんだけどライがいなくなってたからもしかしたらコッチに入れたかなって探していたんだけど。」
 「何わけわかんない事言ってるの!ライ、変な男忍にさらわれちゃったよ!」
 「え?何言ってるかよくわかんないよ。スズ。」
 トケイとスズは噛みあわない会話を始めた。
 「あー、もう……ちょっと落ち着く……。」
 スズは人差し指を立て大きく息を吐いた。
 「スズ……顔少し腫れてるよ?どうしたの?転んだ?」
 「そんなわけないでしょ。殴られたの!すんごい痛かったんだから!」
 「殴られた!?それで僕がもっと早く来ればって言ってたんだね……。敵に襲われたんだ……ごめんね……スズ。僕が来てたら守ってあげられたかもしれないのに。」
 トケイがしゅんと肩を落とす。トケイがあまりに落ち込んでいるのでスズはトケイの肩を叩きながら慰める方向へ言葉を持って行った。
 「それはもう……別にいいよ。それより、ライがその男にさらわれちゃって……。」
 「えーっ!それまずいよ!どっちに行った?」
 「さっき言ったよね!どっち行ったかはわかんない。」
 スズとトケイはがっくりと肩を落とした。


 ……なるほど。ワシになりすましとったのは鵜飼(うかい)マゴロクかぃ。
 サスケは高い木の上でスズとトケイの会話を聞き、ここで起きたことを見ていた。
 ……あやつは誰に雇われてんのかねぇ。んま、ワシはあの笛さえ手に入ればそれでいィんだが。更夜が出てくると最終的に笛を奪いにくくなるから嫌なんだァよ。ワシは。
 ……後、もう一人、何人目のあやつかは知らんが望月チヨメが何故か更夜を狙っているようだがァ、まあ、ワシには関係ない。これで更夜が落ちてくれたらワシは働きやすいんだがなァ。とりあえず、奴らを始末して更夜のコマを減らす。
 サスケはふわりと木から飛び降りた。
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