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ごぼうかえるのTOKIの世界!
皆に元気を与えたい! 前向き楽しいブログを目指す(*^.^*) 口蓋裂の娘ちゃんと軽いADHD、軽いチック症状を持つ旦那と楽しくのんびりな日常をドールちゃん達が紹介する! 独自世界の幻想日本神話、自作小説書いています! 神と人形と人間と霊、そして『K』の季節感じる幻想データ世界TOKIの世界へようこそ! 和風SF日本神話の世界です( ´∀`)
ゆめみ時…1夜を生きるもの達6
 ……この大会はいつまで行われるんだ?
 更夜はため息をついていた。自分を含めた六人はまだ大会に参加している。
 ……だいたい、舌の良い者達が集まっているという事は皆正解してしまい、いつまでたっても終わらんという事なのではないか?
 更夜は運ばれてきた鍋料理を味見しながら考えた。この最中にもどこからかクナイやら刃物やらが飛んできている。
 ……いつまでたっても終わらんのに優勝賞品は一つ。……それを巡って忍が動いている。
 ……裏で何をしているかわからないが俺をここに足止めさせようと考えている忍もいるはず。今、襲ってきている者は俺を殺そうとしているのではなく、俺に余計な考えをする暇をなくさせているとも考えられる。単純に俺を殺したいのかもしれんが……。
 更夜はちらりと隣を仰ぐ。残りの人間におかしい所はない。
 ……これはさっさとかたをつけた方が良さそうだ。他の者には悪いが……手っ取り早く勝たせてもらう。
 更夜は小さく指を動かし唐辛子を微量、風に流して残り五人の鍋の中に入れた。
 ……この鍋料理に唐辛子は入っていない。これで全員ひっかかる。
 更夜はついでに気づかれないように懐に入っていた香料のビンの蓋を開ける。中から唐辛子の匂いが風に乗って五人の鼻に届く。
 ……人間は匂いで物を判断する時もある。一応、鼻も狂わせておこう。
 ……微量の唐辛子でも匂いつきとなればここまで生き残ってきた者達ならば狂うはずだ。
 更夜は飛んできたクナイを軽やかに避け、そのクナイを拾い、懐に忍ばせる。いままで飛んできた物はすべて回収済みだ。だからこそ、ギャラリーや司会に気がつかれない。
 ……誰だか知らんが非常に迷惑だ。
 更夜はペンをその場に置いた。先程クナイが飛んできた方面目がけてそのままクナイを投げる。周りの人間はペンを置いただけだと思っているので気がついていない。
 ……先程からずっとこの調子だ。この人数でばれないように振る舞うのがどれだけ大変か……。
 司会の女性が記入用紙を持っていく。更夜は笑顔で会釈をした。女性は頬を赤らめると楽しそうに微笑んだ。


  夜空から突然人が降って来た。スズとトケイは驚いて目を見開いた。
 「あー!あんたはサスケね!」
 スズはサスケを鋭く睨みつける。サスケは頭をポリポリかくとニコリと笑った。
 「マゴロクに芸術神ライをさらわれたとねェ。んま、マゴロク強いから仕方ないんじゃねぃかィ?」
 サスケの言葉にスズの眉がぴくんと動いた。
 「ああ、あやつ、鵜飼マゴロクって言うんだァよ。マゴロクがなんで芸術神をさらったか知りたいだァろ?え?」
 「知りたい!知りたいです!」
 サスケの言葉に即座に反応したのはトケイだった。
 「馬鹿。罠に決まっているでしょ!」
 スズがトケイを止めた。
 「ワシに勝てたらいいよォ。教えてやらァ。ただし、ワシもお前らが邪魔だ。言っている意味がわかるなァ?」
 サスケの瞳が突然、鋭くなった。しかし、気は水のように静かだ。
 ……気持ち悪い……。
 スズとトケイはじりじりと後退していた。
 「トケイ!こいつはまずい!逃げるよ!」
 スズがトケイを引っ張ろうとした刹那、地面が突然爆発した。吹っ飛ばされたのはスズだけだ。
 「スズ!」
 トケイはスズに叫ぶ。土煙でスズの姿は見えない。
 「そこ、危ないんだがなァ。」
 サスケの声が土煙の中で聞こえる。トケイはサスケを探した。しかし見つからない。
 焦っているとスズが土煙の中から勢いよくトケイを引っ張った。
 「スズ!」
 「ダメ!勝てない!」
 スズが珍しく焦っていた。
 「スズ?」
 トケイは引っ張られながらスズを一瞥した。スズの腕からは血が滴っていた。
 「……なんでさっきからこんな強い忍ばっかり……。」
 スズの言葉は途中で切れた。
 「……っちぃ!」
土煙の中、突然現れたサスケの蹴りを腹にくらい、スズは遠くにまた飛ばされた。
 「スズ!なんでスズばっかり狙うんだよ!僕と闘え!」
 トケイは再び消えてしまったサスケに向かい叫んだ。どこからかサスケの声が聞こえた。
 「お前は同業者じゃねぃからな。動けなくするだけだァよ。忍相手にこれをやったら失礼だからあの娘にはやらん。だいたいかからんだろう。術自体になー……。」
 「……!え?え?な、なんだこれは!」
 トケイは気がつくと指一本動かせなくなっていた。
 「言っただろぃ?ワシに勝てたら教えてやるがワシもおめぇ達を邪魔だと思っているんだってな。ほいっとな。」
 サスケが一言そう発した刹那、土煙が風ですべて飛んで行った。
 「……!」
 トケイの目が見開かれた。視界が良くなりあたりの風景がよく見える。
 トケイのすぐ近くにスズが座り込んでいた。
 「ごほっ……微塵隠れか……。なるほど。すごいわね。」
 スズの服は破れており身体からは血が滴っている。
 「ご名答。ワシがもっとも得意とする忍術だィ。ちーとやりすぎたがなァ。ふむ。まだ息があるのかぃ?」
 「こんなんじゃ死なないよ。」
 スズはふうとため息をついた。
 「くそ!なんで動かないんだ!スズにもうひどい事しないでよ!教えてくれなくていいから!」
 トケイは動かない身体を必死に動かそうとしている。
 「あーあー、わたし、なんだか負けばっかり。やっぱり強い男忍は違うねー。」
 スズは必死のトケイとは裏腹、呑気に言葉を発した。
 「マゴロクは紳士な方だァ。ワシならやられる前にやるけどなァ。」
 「じゃあ、これは油断ね。」
 スズはサスケに冷酷な目を向けた。
 「!?」
 スズの身体から突然火柱が上がった。
 「す……スズ!?」
 トケイは目の前で燃えるスズに動揺していた。
 「馬鹿ね。こっち。」
 スズは何故かトケイのすぐ後ろにいた。
 「スズ……。」
 「糸縛りの術ね。糸で縛ってある程度動けなくして後は催眠。こんなのきっちゃえば動けるよ。」
 スズは持っていた小刀で糸を切った。とたんにトケイの身体が軽くなった。催眠術でかなしばりの状態にされていたらしい。
 「トケイ、ぼうっとしてないでさっさと飛んで!」
 スズの言葉にトケイは慌ててウィングを広げ空に飛びあがった。
 トケイはスズを抱きかかえる。かなり上まで飛び、下を見下ろした。
 サスケはこちらをじっと見ていた。
 「バレてたのね……。わたしの火遁(かとん)……。」
 「この高さならつたうものも何もないし、奴も追ってこれない。それより、スズ、大丈夫?」
 「大丈夫よ。最初の爆発とその次の爆発でかすり傷を負っただけ。後の攻撃は全部防いだよ。逃げやすくするためにわざとボロボロのフリをしただけ。それよりもこれじゃあ、下に降りられないね……。」
 スズは呆れた顔でトケイを見つめる。
 「でもここだったらやつも来れないし安心じゃない?」
 トケイは相変わらずの無表情でスズを見返した。
 「馬鹿ねー……。これじゃあ、わたし達、一歩も動けないよ。サスケはわたし達が邪魔をしなければいいわけだから……これ、ハメられたんだよ……。」
 スズが再びため息をついたのとトケイが「なるほど」とつぶやいた声が重なった。


 更夜はあっさりと大会に優勝した。
 「おめでとうございます!これが優勝賞品です!」
 司会の女性から更夜は古そうな縦笛を受け取った。
 「まさか勝てるとは思いませんでした。とても嬉しいです。」
 更夜は心底嬉しそうな顔でギャラリーに手を振った。ギャラリーの歓声が響く。
 しかし、平和な時もすぐに終わった。
 「な、なんだ!」
 ギャラリーの誰かが叫んだ。刹那、シャンデリアの明かりが落ち、あたりは急に真っ暗になった。歓喜の声を上げていたギャラリー達は次第に騒ぎはじめ、動揺と不安があたり一帯を包む。
 ……来たな……。
 更夜はさっと身体を低くし、何かをかわした。更夜は強く目を瞑り、すぐに目を開いた。
 いくら忍でも明るい所から急に暗くなると目が慣れない。こういう時は目をすぐに閉じ、すぐに開けると夜目の訓練をしている者ならば見えるようになる。
 ……奇襲は失敗したな。
 更夜の背後に人の気配がした。気配はゆらりと揺れ消えると更夜の下から突然、拳が現れた。
 更夜は素早く後ろに退きかわした。
 今度は真横から気配が消え、鋭い風が首元で唸りを上げた。更夜は前かがみになり紙一重でかわした。
 ……今のは刃物だな。俺の首を狙ってた。
 周りのギャラリーは突然、明かりが消えた事で不安が大きくなっていた。慌てて逃げる者、戸惑ってその場にいる者と様々だ。
 更夜はまわりが見えているはずだが襲ってきている者だけは見えない。更夜の視界に映らないように襲ってきているようだ。
 更夜は腰に差している刀を抜こうとしたがなぜか抜けなかった。
 ……っち……糸縛りか……
 更夜は刀に巻きついている糸を断ち切った。その隙を突き、手裏剣が更夜の肩を深く切り裂いた。
 「……っ。」
 ……怯んだら負ける。
 更夜は何事もなかったかのように刀を抜いた。
 「さすがだなァ。殺せそうで殺せんよ。」
 「サスケか。」
 「その笛、渡してくれんかな?」
 サスケの声だけが聞こえた。ふと気配がまた急に下から漂う。サスケはそのまま小刀で薙ぎ払い、更夜の首を狙った。
 ……俺を殺す気か……。
 更夜は少し退くと刀を振り下ろした。何かを捉えた気はしたが斬った感じではなかった。
 ……かなり速い……。
 刀がサスケの小刀とぶつかった。サスケの目と更夜の目がはじめて合った。
 「ここではお互い派手な事はできんはずだ。サスケ。」
 「暗殺する予定だったんだがなァ……。もうここまで来たら失敗かねェ。」
 「……だな。」
 更夜はもうサスケを視界に捉えていた。
 「ああ、一つ、お仲間さんの女忍、今どうなってるか知りたくねぃか?」
 「……。」
 わずかに更夜の気が乱れた。その一瞬の隙を突き、サスケは更夜の首を小刀で凪いだ。
 更夜は咄嗟にのけ反り斬撃をかわした。
 「……っ。」
 しかし更夜の首からは血が滲んでいた。完全に避けきれなかったようだ。
 「あの冷酷な鷹であるはずのあんたが気を乱されるとは珍しいもんみたよォ、ワシはァ。」
 更夜はまた消えてしまったサスケを気配だけで追い、刀を振りかぶった。サスケは横に飛んでかわした。
 「それからなァ、芸術神の方はさらわれちまったよォ。」
 サスケはにやりと笑い、また気が乱れた更夜から笛を奪おうとした。
 更夜は手を斬り裂こうとしたサスケの腕を取ると膝でサスケの腹に打撃を加えた。そのまま、サスケの腹を再び深く蹴りつけた。サスケは一瞬苦しそうに呻いたが再び更夜と距離をとった。
 「そう簡単に渡さん。」
 「怒っているのかィ?忍に守る者はいない方がいぃ。あんたもわかってんだろうが。利用されんだけよォ。あんたもそうやって生きてきたんだろうが。」
 サスケは再び更夜の首を狙う。更夜の視界に炎が突然現れた。更夜が炎に囚われている間、サスケは更夜の首を思い切り蹴り飛ばした。
 「……っ!」
 更夜は呻くと膝を床についた。
 「落ちなかったかィ……。」
 「げほ……はあ……はあ……。」
 一瞬息ができなくなった更夜は肩で息をし、呼吸を整えていた。
 「あんたはなァ、凄い才能を持っているんだィ。忍は天職だと思うがなァ。ワシは。」
 「……この職を良いと感じた事はない。……最悪だ。」
 「凄い才能を持ってて何を言うかィ。他の忍もなるべくあんたとは戦いたくないんだろうよォ。」
 サスケはケラケラと笑う。
 「……じゃあ襲ってくるな。」
 「それはできねェなァ。戦いたくはねィが仕事なら仕方ねェい。もう一つ教えとこかね。この世界に入り込んだ忍はあんたんとこの娘を覗いて皆甲賀者だァよ。」
 「いらん情報だな。」
 更夜とサスケは再びぶつかり合った。
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