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ごぼうかえるのTOKIの世界!
皆に元気を与えたい! 前向き楽しいブログを目指す(*^.^*) 口蓋裂の娘ちゃんと軽いADHD、軽いチック症状を持つ旦那と楽しくのんびりな日常をドールちゃん達が紹介する! 独自世界の幻想日本神話、自作小説書いています! 神と人形と人間と霊、そして『K』の季節感じる幻想データ世界TOKIの世界へようこそ! 和風SF日本神話の世界です( ´∀`)
明かし時…1ロスト・クロッカー6
 夜八時を回ったか回っていないか……時計が狂っていてわからないが暗い道をムスビとヒメが歩いていた。
 「鉄骨が落ちている所ってもっと先かの?」
 「道の合流部とか言っていたから俺は交差点とかかなって思っているんだけどね。」
 ヒメの言葉にムスビは笑顔で答えた。
 「そうじゃな!もう少し歩いてみるのじゃ。」
 「いいよ。転ばないようにねー。」
 ムスビはヒメに優しく声をかけながら道を進む。しばらく歩くと交差点が見えた。その交差点の大通りの方に太い鉄骨が数本散らばっている。
 「あれじゃな……。ム……。あの鉄骨は昨日のお昼頃に起きた事故で投げ出されたものじゃ。しかしおかしいの……、この鉄骨はもう回収されているはずじゃ……。そしてなによりおかしなことが歴史の一部が切り取られここに持ってこられている事じゃ。」
 ヒメは鉄骨に近づき、戸惑った顔をしていた。これだけ鉄骨が散らばっているのに野次馬も警察も誰もいない。
 「たしかにおかしいね。誰もあの鉄骨に気が付いていないなんて。」
 ムスビもヒメに近づいた。
 「!」
 刹那、ヒメが目を見開き驚いてムスビを振り返った。
 「ん?どうしたの?」
 「また歴史が変わったのじゃ!」
 「え?」
 ムスビが慌てているヒメに向かい首を傾げた。
 「今、急激に歴史が元に戻ったのじゃ!」
 「歴史が元に戻った?」
 ムスビは不思議そうにヒメに目を向けた後、鉄骨に目を移した。
 「……あれ?」
 先程までそこにあった鉄骨はなぜか跡形もなく消えていた。
 「この鉄骨が元の時間軸に戻ったのじゃ……。一体何なのじゃ!いままでこんなことはなかったぞよ……。わしはどうすればよいのじゃ……。うわーん……。」
 ヒメは突然起きた事象に戸惑い、泣き出した。
 「な、泣かないで!ヒメちゃん。俺達がいるでしょ?一緒に何とかしよう!」
 「うん……。」
 ムスビは泣いているヒメに飴を一つ渡した。ヒメは泣きながら一つ頷くと素早く飴を口に入れた。
 「じゃ、じゃあまずはあれだ!時神過去神の……栄次に相談してみようか。人間の過去なら彼の方が詳しいと思うし……ね?」
 ムスビはヒメを優しく撫でながらほほ笑んだ。
 「うん……。」
 ヒメは一つ頷くと涙を拭った。
 「じゃ、行こうか!」
 ムスビがヒメの背中を軽く押しながら歩き始めた時、遠くで銀髪の男が走り去る姿が目に入った。着物を着ている若そうな男だった。
 「ん……?あいつは確か……。」
 「どうしたのじゃ?」
 「え?ああ、何でもないよ。行こうか。」
 ヒメが不安そうな顔をしていたのでムスビは表情を元に戻し、ヒメと手を繋いで歩き出した。
 ヒメとムスビはナオと栄次に会うため、とりあえずアヤの住むマンションに向かった。
 二神は細い道を黙々と歩きコンビニを越えてマンションへたどり着いた。
 「ナオさんと栄次いるかな?」
 「あのアヤという名の少女を追って行ったのじゃろ?ここがあの子の家ならばいるのではないかの?」
 ヒメは首を傾げながらムスビに目を向けた。
 「ま、とりあえず、アヤって子の部屋前まで行くか。」
 ムスビは優しくほほ笑みながらヒメの手を取り歩き出した。ヒメは恥ずかしがりながらもムスビに従った。
 マンションの階段を上がり、四階のアヤの部屋前まで来た。廊下部分でナオと栄次が真剣な顔つきで何かを考えていた。
 「あ!ナオさん!栄次!いたいたー!」
 ムスビが声を上げた時、栄次が一言ナオにつぶやいていた。
 「……あるとすれば……劣化異種だ。」
 「……え?」
 話の内容が理解できなかったムスビは不思議そうな顔でナオと栄次を見つめた。
 「……あ、ムスビにヒメさんですか。実はアヤさんが突然、例の男性と消えてしまって……。」
 ナオがムスビとヒメに気が付き、困惑した表情のまま状況を説明した。
 「……こちらもおかしかったのじゃ。鉄骨を調べたところ、歴史の一部が切り取られておった。」
 「歴史の一部が……。そうですか……。」
 ヒメの発言にナオはまた顔を青くした。
 「やはりな。……あの男は劣化異種で間違いないだろう。」
 栄次が勝手に自己解決してしまったのでナオ達は慌てて質問をした。
 「あの……劣化異種とは何でしょうか?」
 「ああ、時神の仕組みだ。時神は自分よりも力がある時神が生まれた場合、力がある時神の方が生き残り、力のない時神は消滅する……という仕組みで回っている。時神の生は人間から始まり、徐々に神になる。人間から時神に変わる神を向上異種と呼び、反対に消えてしまう時神を劣化異種という。今回は時神の内、現代神の向上異種が現れたんだろう。それがおそらくあの娘だ。あの娘はこれから時神になる。それで今存在しているあの男、現代神が劣化異種となった。」
 「つまりは……アヤさんが現代神になってあの男の子が消えてしまう現代神……ということですか?なんだかデリートを押されているような仕組みですね……。」
 ナオが眉を寄せ、気難しい顔で唸った。
 「時神は自分の歴史を自分で動かせない。つまり自身の体の時間は止まっている。人間と共に生きなければならない時神にとって変化することは大変な事だ。人間は常に変動する。それに合わせられる神でないと時神は務まらない。おそらく今に合った時神をこの世界が選んだのだろうな。あの男の方もかなり長い年月を生きているようだった。」
 栄次の言葉を聞いていたムスビが頭をポリポリとかきながら声を発した。
 「その仕組みはわかったけどさ、歴史が動いたのとどう関係があるんだよ?」
 「時神の生は人間から始まると言っただろう。まずは向上異種から説明しようか。人間は歴史を動かす能力を持っている。向上異種は人間の歴史を動かす力と時神の力が入り混じった状態だ。その作用か時を渡れ、人間の歴史を動かせる。次に劣化異種だが劣化異種が劣化していくのは時神の力が消えていき、逆に人間の力が戻ってくる。そして人間の力が大半を占めた時、時間が逆流し、死ぬ。時神は最低でも百年は生きている。人間が生きられる時間を凌駕しているので消えるのは仕方があるまい。その消えるまでに劣化異種も向上異種同様に時神の力と人間の力を両方持っている事となる。つまりだ……。劣化異種も歴史を動かせ、時を渡れる。」
 「……。」
 栄次の説明を聞いてナオ達は黙り込んだ。今の話を頭で整理しているようだ。
 その中、ヒメはこの話を知っていたのか一人頷いていた。
 「うむ……。向上異種を別名でタイムクロッカーと呼び、劣化異種を別名でロストクロッカーと呼ぶのじゃよ。おぬしら、神々の歴史を管理しておるのにこの事を知らなかったのかの?」
 「うっ……。」
 ヒメに突っ込まれ、ムスビとナオは返答に困った。
 神々の歴史の管理と言ってもそんなに細かいところまでの歴史は管理していない。ナオは大雑把な神々の歴史を管理しているだけだ。細かい歴史は他の神が担当している。
 「あっ、では……劣化異種……ロストクロッカーはアヤさんを連れて何をしているのでしょうか?」
 ナオは突然、言いようのない不安に襲われた。
 「……劣化異種の心情はおそらく、自分は消えたくないと思っているのだろうな。つまりは……。」
 「……アヤさんを消そうと動いている可能性があるという事ですか!」
 「そうだ。あの娘が消えればあの男はまだ時神を続けていられる。あの男はあの娘を殺そうと動いている可能性が高いだろう。」
 「そんな!私達も時を渡らないとっ……。」
 「それが俺達はできないだろ。」
 焦っているナオの頭にムスビがポンと手を置いた。
 「なっ、何をするのですか!」
 「あっ……いや、少し落ち着くかなーなんて……。」
 「な、なんですか……。もう……突然。」
 ムスビの笑顔を見て焦っていたナオは顔を赤くしてうつむいた。ムスビは顔を赤くしているナオをかわいいと思ったが口には出さなかった。
 「で……時を渡る方法だが……そこの……ヒメだったか?ができるのではないか?」
 栄次が会話に割り込み、ヒメに目を向けた。
 「う、うむ。ワシは人間の歴史を管理している神故、歴史神や時神なら時渡りさせてやれるかもしれぬがおぬしら本体ではなく、おぬしらの一部を過去の世界に召喚する形となるの。過去の世界は参(さん)の世界と呼ばれておるが現世であるここ、陸(ろく)の世界と過去にあたる参の世界は違う世界じゃ。絶対に参の世界を生きるおぬしらに会ってはいかぬぞ。」
 ヒメが気乗りしない顔で答えた。
 「ちょっと待って。そもそも、あの男とアヤって子がいつに行ったのかわからないんじゃないか?歴史を動かしたからって過去に行っているとは限らないだろ。もしかしたら未来へ行っている可能性も……。」
 ムスビが慌てて声を発した。
 「……その可能性もあるが……向上異種や劣化異種が未来へ行くときは未来の時計を想像して描き、行きたい未来の年代も書くことで人の持つ想像力で未来へ飛べる仕組みだ。だが、アヤとかいう小娘の部屋に紙も筆もなかった。未来に行った線は薄い。反対に過去に行くには作られた時計に触れば行ける。あの子の部屋には時計が沢山あった。あの時計の内のどれかを触ったと考えた方がいいだろう。」
 栄次は特に焦った様子もなく冷静に言葉を発した。
 「むぅ……もし未来へ飛んでいたらワシは何にもできんの。時神未来神をこの世界に召喚することはできるが未来へおぬしらを召喚することはできぬ。ちなみに未来の世界も過去の世界同様、別の世界じゃ。未来の世界は肆(よん)の世界と呼んでおる。」
 ヒメはため息交じりに答えると頭を抱えた。
 「じゃ、じゃあ、あのアヤって子の部屋の時計を調べてどこの過去に行ったのか正確に把握しないといけないってわけな。」
 ムスビがナオをちらりと見ながらつぶやいた。
 「このままではアヤさんが危険な可能性があります。……過去へ行きましょう。神力を辿ってどこの時計に触ったか調べる事から始めます。」
 ナオは大きく息を吸うともう一度アヤの家のドアノブを握った。
 

 アヤは再び行われた事故の質問攻めから脱出し、やっとのことでファミレスの椅子に腰を落ち着けることができた。
 「はあ……なんでこんなに私……死にかけるのかしら?」
 アヤは独り言を言いながら向かいに座っているこばるとを見つめた。こばるとはどこか苦しそうに目を伏せていた。
 「……ねえ……こばると君……。突然どうしたの?大丈夫?……な、何でも好きなもの食べていいから元気出して。」
 アヤは急に元気のなくなったこばるとにメニューを差し出し、柔らかくほほえんだ。
 「アヤ……。僕はね……僕は実は……。」
 こばるとはアヤに何かを言おうとしていた。店員がお冷を置いて去っていくのを見つめるとすぐにまた口を閉ざしてしまった。
 「ん?どうしたの?なんか悩みでもあるのかしら?悩みがあるのなら相談に乗るわよ。」
 アヤの優しい声にこばるとはさらに顔を歪ませた。
 「……。」
 「どうしたのよ?さっきまでの元気は?お腹すいているんでしょ?ほら、メニュー。」
 アヤがメニューを再び差し出した時、こばるとが小さく声を発した。
 「僕は……やっぱり君を殺せない……。殺したくない……。」
 「……何?」
 アヤはこばるとが発した一言に首を傾げていた。
 「でも僕は……僕は死にたくない……。」
 「……だから何を言っているのよ?」
 こばるとはアヤの戸惑った顔を見つめた。
 「いままで起きた事故は僕が歴史をいじって動かしたんだ。僕は江戸後期くらいから出現した君をそこら辺の事件事故の歴史を動かしてずっと殺そうとしていたんだ。全部、運がいいのか、かわされちゃってさ。君は……なかなか時神として覚醒しなくて何度も同じ顔で転生しているんだよ……。何度も何度も歴史を動かして君を殺そうとした……。でも、君は生き残ったままだ。」
 「ちょっと待って……。何言っているかわからないわ!話が飛びすぎよ……。」
 こばるとの暗い瞳を見ながらアヤはさらに困惑した顔で近くに置いてあったお冷に口をつけた。
 「……君はこれから時神になる神……向上異種、別名タイムクロッカー。反対に僕はこの世界から消える時神……劣化異種……別名ロストクロッカー……。」
 「ろすと……くろっかー……?」
 アヤの動揺はさらに大きくなり、こばるとの瞳は徐々に光がなくなっていった。
 「ねえ、アヤ、君は死んでくれって言ったら死ぬ?」
 こばるとは苦しそうな表情でアヤに尋ねた。
 「何言っているのよ……。そんなことを言われたって死ねるわけないでしょ。」
 アヤはまったくこばるとの心情が読み取れなかった。だいたい、何を言っているのかよくわからない。
 「そう。だから僕は……君を殺さないといけないんだよ……。」
 「ちょ、ちょっと待ってよ。理由を聞かせてちょうだい!あなた、さっきからわけわからないわよ。」
 「僕達時神の仕組みはね……自分よりも強い力を持った時神が生まれた時に弱い方が消滅する仕組みなんだ。僕は君よりも力が劣っている……。だから僕は死なないといけない。でもね……僕は死にたくないんだ。これから時神になる君を殺せば僕はずっと時神として生きていられるはずなんだ。でもね、僕がいつまでも生きていると他の時神が殺しにくるかもしれないんだ。」
 こばるとの追い込まれているような表情でアヤは冗談だと笑い飛ばせなかった。
 「……それって選択肢は私が死ぬかあなたが死ぬかしかないの?そういう極端な選択だけじゃなくて二人で生きる道を探すって選択はないの?」
 アヤは戸惑いながらこばるとに話を合わせた。
 「……それは無理だと思うんだ。」
 こばるとはほぼ即答した。アヤは困惑した顔のまま、こばるとに言い放った。
 「無理じゃないわ!やってみないとわからないでしょ!大丈夫。私はあなたに味方をするから。」
 アヤは向かいに座っているこばるとの震える手にそっと手を置いた。こばるとはとても悲しそうな顔をしていたがなんだか安心しているようにもみえた。
 「……。君は本当に優しいんだね……。やっぱり人を殺した事なんてない僕にこんなことは無理だ。僕が生きたいから君を殺すなんておかしな考えなんだ。」
 「こばると……君。」
 こばるとは再び目を伏せた。理由はまだよく理解していなかったのだがこばるとの瞳から涙が零れ落ちるのを見てアヤはなんとかして彼を助けてあげたいと思った。
 「こばると……君……。」
 「僕、死にたくないよ……。助けて!助けてよ!」
 絞り出すような声を出し、こばるとはアヤの手を握り返した。
 「……大丈夫よ。二人とも生きられる方法を探しましょう?ね?こばると君。」
 「……アヤ……ありがとう。」
 こばるとは小さくアヤにお礼を言った。アヤには目の前にいる彼がとても小さくか弱い存在に見えた。

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