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ごぼうかえるのTOKIの世界!
皆に元気を与えたい! 前向き楽しいブログを目指す(*^.^*) 口蓋裂の娘ちゃんと軽いADHD、軽いチック症状を持つ旦那と楽しくのんびりな日常をドールちゃん達が紹介する! 独自世界の幻想日本神話、自作小説書いています! 神と人形と人間と霊、そして『K』の季節感じる幻想データ世界TOKIの世界へようこそ! 和風SF日本神話の世界です( ´∀`)
ゆめみ時…1夜を生きるもの達7
 「あっ!」
 スズとトケイは驚いた。上空でずっと見ていたはずのサスケが消えていた。
 「サスケがいない……。」
 「もう……何が何だか……。」
 トケイはスズを抱きながら安全な空にいる。しばらくサスケを探していたがやはりサスケは近くにはいなかった。
 「ん?」
 スズが城から走って出てくる人影を見た。かなりの人間が城から逃げるように外に出てきている。
 「……なんかあったのかな……。」
 トケイが不安げにスズに目を向けた。
 「更夜……大丈夫かなー……。相手かなり強かったけど、襲われてたりしたら無事じゃすまないかも。」
 スズは心配そうに城を眺めた。
 「行ってみようか?」
 トケイが恐る恐る聞いてきた。スズは首を横に振った。
 「……。更夜に任せよう。わたしが行ってもあんたが行っても足手まといになりそう。忍は相手の弱みにつけこむのも得意だから。」
 「そっか……。じゃあ、ライを探そう。」
 「そうね……。今度は間違いなくあの男を仕留めるよ。」
 トケイとスズはお互い大きく頷いた。なんとなく城から出てきた人間を眺めていると人に紛れてやたらと速く走る人間が目に入った。
 「……?」
 「どうしたの?スズ。」
 トケイには見えていないようだった。
 「あれは……忍?何か……持ってる……。」
 スズにはその忍の姿ははっきりと見えていた。
 「?」
 「笛……。」
 忍が持っていたのは縦笛だった。スズの視力は自慢できるほどに良い。かなり遠くまで見渡す事ができた。おまけに動体視力もかなり凄い方だった。
 「笛だって!?」
 「声大きすぎ!」
 トケイの驚きの声に耳を塞いだスズはトケイの肩をポンポンと叩いた。
 「あれ、怪しすぎるねー。まさか優勝賞品?トケイ、とりあえず追うよ!」
 「う、うん。でもライは?」
 「みつからないモノを見つけるよりも見つかったモノから追及していったほうが後にいいの。落ち着いて今を見る。」
 「わ、わかった。」
 トケイはスズの指示した方向に高速で動き始めた。


 マゴロクがどこをどう走って来たのかわからないが城から離れた所で抱えていたライを降ろした。
 木々が覆い茂る森をマゴロクは歩き始めた。
 「あ、あの……。」
 「ついてくればいいよ。」
 不安な顔をしているライにマゴロクは優しく手を握り、微笑んだ。
 ライは仕方なくマゴロクに手を引かれ歩き出した。しばらく歩くと焚火の炎が揺れているのが見えた。何人かが焚火を囲んでいる。皆黒っぽい格好をしていた。
 その中にひときわ若そうな男がマゴロクを見て微笑んだ。
 「うまくいった?」
 「芸術神は連れてきた。絵括神だよ。主。」
 マゴロクは学生服を着ている若い男にライを紹介した。
 「あ、あの……どうも。」
 ライはとりあえず若い男に挨拶を返す。
 「ところであんた、月に行けるんだろ。」
 男はいきなりライにそんな事を聞いた。
 「月……?」
 「僕を月に連れてってくれよ。」
 男はライに近づいてきた。
 「え?えーと……無理だよ。あなたはもう弐の世界の住人だから……。」
 ライは戸惑いながら男に答えた。
 「無理矢理でも連れて行ってもらう。僕は月を経由して現世に戻らないといけないんだよ。マゴロク、僕の言うことをきかせてくれないかな?」
 男は狂気的に笑うとマゴロクをちらりと見た。
 「了解。……あんたの身体はもう動かない……。」
 マゴロクはライに糸縛りをかけた。
 「……っ!え!?う、動けない!」
 「悪いな。ビジネス対象に君は今、なってしまった。主の言うことをきけば痛い思いはしないよ。君は忍じゃないから選択肢をあげよう。」
 「そんな……。」
 怯えるライにマゴロクは冷たく言葉を吐いた。
 「素直に言うことをきけばこのまま何もしないが反抗するというなら俺は容赦しないよ。できればこのまま素直に言うことをきいてほしい。」
 「せ、選択肢も何も弐の世界の魂を現世になんて送れないよぉ……。弐の世界からもう一度、現世なんかに戻ったら魂がおかしくなっちゃうよ!」
 ライは半泣きで叫んだ。
 「別におかしくなってもいいんだ。僕はまだのうのうとあちらで生きているあいつを殺したいだけだから。そんでこっちの世界に連れこんで何度でも殺してやるんだよ。マゴロク、拷問しろ。いう事を聞けるようになるまでな。」
 男は狂気的にライを睨みつけた。
 「……や……やめて!あ、あなた、おかしいよぅ……。」
 ライはガタガタと震えながら目に涙を浮かべた。
 「……っ。」
 マゴロクは冷徹な瞳をしていてもその瞳が揺らいでいた。
 「マゴロク、何やってんだ。僕は主なんだろう?……っち、セイの演奏不足か。」
 「……!」
 男の言葉にライは反応した。ライはマゴロクの真黒な瞳を見上げた。
 よくマゴロクを見るとマゴロクのまわりには禍々しいが音括神セイの神力を感じた。
 「さすがにこれはビジネスだって言ってもなあ……。やりたくない。忍相手でもしかたなしにいままでやってたんだ。気を抜くと俺が死ぬからさ。だけどこの子は普通の子だ。俺はできないね。本当はセカンドライフで人殺しはしたくないんだよー。ショウゴ君。」
 マゴロクは男をショウゴと呼んだ。
 「ノノカとタカトもあの笛を狙っている……。あの笛は気がついたらこの大会の優勝賞品になってた……。セイにも逃げられて……僕はただ壱に行きたいだけだ。絵括神ライでも壱にいけるんだろ!だったら、もう笛なんてどうでもいいから連れてけるようにしてくれよ!マゴロク!」
 ショウゴと呼ばれた男はマゴロクに掴みかかる。
 「音括神セイは音楽で魂の俺達を主に繋いだ……。だがな、俺達は殺人鬼じゃない。もともとは隠密だよ。残酷な事がしたいわけじゃない。」
 マゴロクは怯えるライに目を向けた。
 「……セイちゃんを……知っているの?」
 ライは震えながらマゴロクを仰いだ。
 「俺は知らないなあ。主と残り二人の男女の間でセイと何かあったらしいがね。俺はその後、勝手に魂が主にくっついてしまっただけだよ。ただ、音楽を聴いただけなんだけどね。」
 マゴロクはふうとため息をつく。
 「ショウゴさん……セイちゃんと何があったの?」
 ライはマゴロクからショウゴに目線を移した。
 「……。」
 ショウゴはライの質問に何も答えなかった。


 スズとトケイは忍を追っていた。忍はもうこちらに気がついているようだ。お互い高速で森の中を進む。トケイはスズの指示でその忍と一定の距離を保っていた。
 「……女忍だね。やっぱり手に持っているのは笛。かなりのやり手だね。」
 スズが先を走る女忍の隙を狙うがまったく隙が見えなかった。
 刹那、突然空がカッと光った。
 「な、なに!?」
 トケイは驚いて上を見上げた。
 「大丈夫よ。そのまま追いなさい。右!」
 「う、うん!」
 トケイはウィングをうまく動かし木の幹を潜り右に曲がる。
 「上に意識を集中させて逃げる技よ。線光弾か何かを投げたんでしょ。」
 「へ、へぇ……。」
 トケイは圧倒されながら声を発した。
 「わたし達と対峙しようとしないって事は交戦を避けてわたし達を撒きたいって思っているって事。」
 「なるほど。うわっ!」
 スズの言葉に頷いていたトケイは急に驚きの声を上げた。トケイのウィング目がけて鉤縄が飛んできていた。スズはトケイのウィングに鉤縄が巻きつく前に縄部分を小刀で切った。鉤の部分は暗闇に落ちていった。
 ふとスズが前を向くと女忍がいなかった。
 「!」
 スズは何かを感じ後ろを振り向く。後方から八方手裏剣が飛んできていた。
 「トケイ!後ろ!」
 「え?」
 トケイは慌てて後ろを振り向いた。スズはトケイに抱かれたまま、小刀で手裏剣を弾いた。
 「いない……。」
 スズは周囲を警戒した。木の枝から枝へと飛び移る影が映った。
 「トケイ、あっちの森の中!」
 「え?い、いけるかなあ……。」
 トケイは困惑した声でつぶやきながら木々の間にウィングを滑らせた。木の枝を避けながら女忍を追う。刹那、突然女忍から火が上がった。
 「!」
 轟々と炎が女忍を包んでいく。女忍は炎に包まれているが何事もなかったかのように高速で動いていた。
 「……はっ……。トケイ!止まりなさい!」
 「う!?うん!」
 トケイは木にぶつかりそうになりながら危なく止まった。
 ……これは火遁渡りの術!
 「もうあそこに女忍はいない。あの凄い速度で燃えながら動いているモノはおそらく布か何か。それを糸を使いながら動かす。わたし達は糸で動いていた布を追いかけていたわけ。」
 「よ、よくわかんないけどあの女の人はいなくなったんだ?」
 「いや、近くにいる。」
 スズはトケイに下に降りるように言った。トケイは素直に頷くとそのまま地面に足をつけた。足をつけたトケイとスズの前に黒い影がヌッと現れた。
 「せっかく撒けたと思ったのに残念です。」
 スズ達の目の前にいたのは例の女忍だった。女忍は服を着ておらず、胸元にさらしを巻いて下は布一枚巻いてあるだけだった。
 「この術は相手に炎を追わせる術だからね。大概術者は近くにいると踏んだだけ。」
 スズはまっすぐ女忍を睨みつけていた。
 「ふう……自分の服まで燃やしたっていうのに……やっぱり忍相手では見つかってしまいますね。」
 女忍はやれやれとため息をついた。
 「う、うわー!ごめんなさーい!」
 女忍の格好を見てしまったトケイは顔を真っ赤にしてひたすらあやまっていた。
 「あら、うぶな子がいるのですね。」
 「そんな事はいいよ。あんたの持ってる笛、それ優勝賞品じゃなくて?」
 悶えているトケイの肩を叩きながらスズは女忍に質問した。
 「どうでしょうかねぇ?あなた、怪我しているのですね。サスケとマゴロクにでもやられましたか?ダメですね。女忍の主な術は色香。男に手を上げさせてはダメです。真っ向から男と対峙して勝てるわけないでしょう?相手の力をどんどん減らしていくのですよ。」
 女忍は色っぽく笑う。不思議と女のスズもそれに魅了されかけた。
 「話を逸らさないでよ。」
 「あら?何のお話しでしたっけ?」
 女忍は潤んだ瞳をそっと細めると微笑んだ。大した仕草をしているわけではないのだが不思議とそそるくらいに美しく見惚れてしまうほど艶やかに見えた。
 ……この女は色香に特化した女忍……。
 「チヨメ!笛は?」
 ふと木々の間から学生服を身に纏った少女が現れた。
 「ノノカちゃん……いい時にきますね……。悪い意味ですけど。」
 チヨメと呼ばれた女忍は現れた少女をノノカと呼んだ。
 「それより笛。」
 「はいどうぞ。主。」
 ノノカが急かすように手を出してきたのでチヨメはため息をつきながら持っていた笛をノノカに渡した。
 「あんがと。これでセイを捕まえられるかな。」
 ノノカは笛を奪い取るとクスクスと笑った。
 「……ねえ、スズ……。」
 「しっ。」
 トケイはスズに声をかけようとしたが止められた。スズは手をわずかに動かし、綿毛を風に流した。
 ……風移しの術を使って笛がここにある事を伝えないと……。きっと優勝賞品だったこの笛はチヨメって女忍に盗まれたんだね……。更夜……気づいて。
 スズはノノカとチヨメが逃げた時に対応できるように静かに構えた。
 それを見たトケイもスズに習い、二人に隙をつかれないように気を引き締めた。

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